第四話 異次元DOOR
(第3地底エリア)
青い山脈が連なる第3地底エリアは深さ300キロ(30万メートル)。中心部までが6400キロメートルだとすれば、大体地表から20分の1。まあ5%ってところだ。まだ薄皮のレベルだ!第一地底エリアとは地中で接していない。ここは中心に向かって、縦に広がってる。もし縦に1000キロの空洞が入っていれば、ちょうど地表から1300キロメートル。大体、五分の一(20%)の深さまで広がっていることになる。そうなってくると、体積も加算して計測しないと厳しくなってくるな。
第3地底エリアは地上の北米エリアと重なっている。ちょうど真上は最強国家アメリカ合衆国だ。強い国の象徴アメリカ。かつてこの大陸には、平和に暮らしているインディアンが住んでいた。ここに聖者のフリをしたニセ宗教者がやって来た。先住民族を悪者にし、身勝手な振舞いで白い種族がまんまと征服していった歴史がある。本当に悲しい歴史だと思うね。まあ地下世界の時間からすれば最近の話らしいがね。
それら一連の略奪行為は、地中海の入江に作られた人工国家 (世界から同情を受けるように意図された国家) から指示が出ていたのか、それともピューリタンが作ったとされる東方侵略の国そのものの行動だったのか。その辺は定かで無いが、地底世界は気付いていることでしょう。
世界支配を企んでいる者って何だか良くわからないが、根本の精神がこの惑星にいる連中とはどうも違うような気がしてならない。愛の無い身勝手な種族だと思うわ!どうみてもな!
この地上の国家は世界No. 1の軍事力を持ってると言われている。そしてそこにいるのは、全て同じ民族なのかどうかも定かで無い。もしかして早々に背乗りされてしまった?!かもしれないな。
身勝手な白い種族は立ち回りがうまく、偽物の情報を演出しては、都合のいい世界を作り上げてきた。まあ工作する人たちがヤバいくらい悪い術を知っているのでしょ!
彼らの祖先は遠い惑星から、太古の昔に来たようだ。わしもあまり知らんけどな。でもどうやら地表の浅い所に拠点を作って、鉱物資源や、燃える水を独り占めするのが目的のようだ。
〜何しろ支配する事が大好きな種族なんや〜
と最近聞いた事があるぞ。
〜我々とは仲良く出来ないタイプやな〜
そんな国がちょうど真上にあるのが第3エリアだが、ここはとても広く、青い海が広がる天井に、決して届く事は無いでしょうね。
④(DONドン)
まあいろいろ言ったが、この第3地底エリアに住む巨大な存在がDON。身長は300メートル。タワーマンションで言えば75階の高さ。スカイツリーの半分くらいと思って貰えればいい。予想では第3地底エリアが一番大きいと思う。
DONは法の番人みたいなものだ。まあ見張り番だな。
地底世界の住人は基本地上には出られないルールがある。同じく地上世界は地下に行けない。要するに干渉してはならぬって事だ。それにしても300メートルとはとんでもない大きさだな。威圧感MAX。
今回、地上の人間にインスピレーションを送り続け、警告を鳴らし続けているのもDONだ。世界最強の国が揺れているからかもしれない。ここに来て世界は動いている。何か悪い物が地下も含めて出てくる予感がする。
〜しかし、何であのおじいちゃんが、
DONの受信が出来たかは謎だが…
DONとの間は微弱な通信だったかも知れないな。別にこれは介入でも干渉でも無い、好き勝手にやり放題のフリーWi-Fiみたいなもんだ。DONは受信している者を知らない、見る事も出来ない。ただインスピレーションのみの世界だ。ここ数日の、いや数ヶ月の事件だったかも知れない…
(第4地底エリア)
⑤(DENデン)
南米大陸の地下に位置する第4地底エリアは、ちょうどアンデス山脈に囲まれたコロンビア、ペルー、ボリビアが地上にあると思って頂ければいい。山脈から流れる水が、アマゾン盆地を通ってブラジルの河口に流れるが如く、地下でも同じようなシステムが運営されていると思ってくれ。
清らかな水脈と、天空に届かんばかりの山脈。すべての生命が自由に育ち、その成長を喜ぶ存在にとっては、与えるだけ与えたって感じでしょう。何もかもが、すでにそこにあって、手を加える事さえ要らないって感じだ。素晴らしいシステム。
〜まさに森のようだ〜
DENは2本角が特徴で、身長100メートルの巨大地底人だ。普段はその角は隠しているけどね。
この地底エリアは他の3つと違って、地球外からの訪問が多い。地上でも目撃情報は多いと思うが、磁場的に地球内部に入りやすいのが特徴だ。地上のアンデス山脈であってもとてつもなく長い。地上の人間でも全貌を知る事はないでしょう。
その一角に宇宙からの訪問者が入り込む出入口があるようだ。DENはそこをなぜか知っていた…
〜おッ!UFO〜
〜インビジブルの世界だ
いきなり現れて来たよ〜
どこを通って来たか知るよしも無いが、次元を超えての移動だろうな。幼少の頃からこの辺で遊んでいたDENは何度か目撃していた。一瞬見えた異星人も山の背後に隠れる瞬間だった。確かに2本角があったな…
DENは妙な感覚に陥った。〜まさか!
エネルギー球体が青みを帯びてくる時間になった。青白く光る山脈は静かに一日を終える準備を始めた…第4地底エリアに静かな闇が忍び寄って来た。交流の無い地下世界には数十年に一度、地表との磁場調整でポータルサイトが出現し、幻影が地上に出現してしまう事がある。それが異次元DOORと言われている。今回、こともあろうに先ほど紹介した5人の地底人の前に出現した。それも同時にだ…
入ることは本人の自由だった。
入らなくても時間が経てば閉じてしまうサイト…
Ga.地底人の5名にとって、昔から聞いていた事だった。帰って来ていない者もいる事は知っていた。
だからその先に何があるのかは誰も知らされていない…
時は過ぎ、5人の前のポータルサイトは閉じた。
地底世界に静寂だけが残った。
そして清々しい風が吹いていた…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます