第7話 変わりゆく何か…①
帰宅し少し遅い夕食を食べる。遅いと言ってもいつもより1時間ほどだ。
私は買ってきた物を整理していく。久しぶりに誰かとの買い物は楽しかった。
買ってきた紅茶の賞味期限を確認して近い順に整理していく。
「こんだけあればしばらくは切らさずに済みそうね」
私もファスも紅茶派だったのでほぼ毎日消費していたので大量に買っては消費のサイクルだった。
「それにしてもあんな可愛い後輩がいたなんてね、あなたモテモテだったから他にもあんな子が居そうね」
独り言なのは分かってるけど声を出さずにはいられないのだ。
ファスは男女ともに人気があったと思う。バレンタインの時とかすごかった…
「さて、シャワー浴びてのんびりしよう」
私は準備して脱衣所に向かう。そして服を脱ぎ自分の服を見て今日を振り返り出す。
「なかなか面白い反応してたな、ホント何故か雨湯児さんとファスが重なるのよね」
呟きながら浴室に入りシャワーを頭に掛けながら私は耳を塞ぐ。頭に当たるお湯の音が私は好きなのだ。
1人になってしまった時はシャワー浴びるのも億劫だったが流石にもう立ち直りつつある。
そうだ、明日はファスのお母さんに連絡して休みの時に行ってもいいか聞いてみよう。
「雨湯児さんも…誘うべきなのかな…知ってしまった訳だし後輩だし、それも含め聞いてみようかな」
知ってしまった以上気にかけるべきか分からないけど連絡だけしておこうかな。
私は脱衣所で髪の毛を乾かしながらどうするべきか悩んでだけど答えは自分で出すしかない。
私が雨湯児さんの前で『ファス』と呼んだ時、雨湯児さんは何処か寂しそうだった。憧れの先輩の名前を知らなかった事が少し気にしてしまってるのかもしれない…でもそれは私が気にすることではないはず。
「けどなんか気になるな…」
けど誰しも何かしら抱えて生きているものだ、踏み込むべきではない事の方が多い。
「彼女もファスの事が好きだったのかな、私と同じ好きなのかな、それとも憧れと言う好きなのかな…」
あんな寂しそうな顔をされたらこっちが悪い事したみたいだ。気にしすぎなんだろうけど……
「もし彼女が…」
私と同じ好きだったなら私は彼女からどう映るのだろうか、妬まれてたのだろうか。
けど何故あんなに元気付けようとする行動をとってきたのか分からない。
「まったく、悪い妄想だね」
考えても仕方ない、いつも通りタブレットで動画見ながら寝るとしよう。
私は寝支度をしベッドで横になり動画を再生する。
やがて睡魔がやって来てそのまま寝ていた。
ファスが私の手を引いて校舎を歩いてる。ああ…夢か。そしてある人の前で止まる。
「コイツの事よろしく頼むぜ紗凪」そういい雨湯児さんの手を私の手に重ねてきた…
「うう…気にしすぎによる夢なのか」
朝から複雑な気分に陥る。時間は7時半だった。
顔を洗い朝ごはんを作ろうと思いながらスマホを確認すると雨湯児さんからメッセージが来ていた。寝落ちしてから届いたようだ。
『今日はありがとうございました!美味しい紅茶を教えていただきありがとうございました!また色々教えてください!それじゃまた会社で!』
そうだ、また明日も会う、同じ会社なのだから会う事になるのだ。変な噂にならないようにいつも通りに接しないといけないのだ。
私は「こちらこそありがとう、また明日ね」と返事をしてベッドから降りる。顔洗いトーストを焼き紅茶を淹れ朝のルーティンをこなす。
「さて、ファスのお母さんにメール送るかな」
彼女の事はどうしよう、伝えるべきか悩む。後輩も一緒に行ってもいいものか悩む。
「聞いてダメなら私だけで済むからね、大丈夫なら誘ったらいいだけだし」
一人納得してメールを送る。同じ部活の後輩もいいかどうかもしっかり伝えた。
「お節介と言われたらそれまでだけどね」
けど、悲しんでくれる人が居るのは大切な事だ。きっとファスは怒らないと思う。
程なくして返信が届いた
「明日会ったら誘ってみようかな」
そう私は決心した。
届いたメールの内容は来てもらっていいとの事だった。
『おはよう紗凪ちゃん、いつでもいらっしゃい。後輩さんも来てくれるなら一緒にどうぞ来てください。それとちょうど紗凪ちゃんに伝えたいことがあるからちょうどよかったです。元気な姿を楽しみにしてます。』
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