第4話 ………気付かない侵食……①
車を走らせショッピングモールに到着した私は駐車場を探して右往左往としていた。
「やっと駐車場に入れたー、さすが休日だね、車多いし当然人も多いや」
待ち合わせ場所まで少し歩く必要がある、なんだかんだで日傘の出番はあるようだ。
持ってきて良かったと心底思った、季節は6月初めだから日差し自体は強い。
「さ、行くかー、時間も十分あるから待ってないと思うけど」
私は待ち合わせ場所まで少し急いで向かいながらまたファスの事を思い出してた。
「休みが合った時にはよく来てたよね、ドライブも好きだったなぁ」
思いを少し馳せて歩く、そろそろ待ち合わせ場所が見えてくる。
「うそー、もういる…」
入り口の屋根の下に立ってる子が既に居たのだ、私は小走りで近づいて彼女だとはっきり分かった。
「ごめん待たせちゃった?」
そう声を掛けると彼女はこちらを見て明るく答えた。
「いえいえ、少し早く着きすぎてしまったんでーす………」
目の前の女性はこちら振り向いて答えながら表情が固まっていく。
「どうしたの雨湯児さん?」
声をかける。
「あっ…え…っとー」
雨湯児さんが壊れた、一体彼女に何があったのか考えてたら。
「先輩、その服装は…なんですか?」
そう聞いてきたのだ。
「え?普段からこれだよ?」
普通に答える、彼女の服装は白色のワンピースにクリーム色の長袖を着て青く細いベルトでウエストを締めている、靴は少し厚底のサンダルだろうか…なかなかに可愛いな。
肩より少し下まで伸びた髪は前髪みを左右に分けてヘアマニキュアで赤と青に着色してる。
固まったままの雨湯児さんに声をかける。
「すごい可愛いね、オシャレ好きなんだーいいねー」
やっと雨湯児さんは反応した。
「あ、ありがとうございます……いやいや先輩!お腹出てるし!え?!普段からその服装なんですか!?冬もですか!?」
何やら興奮してる。
「冬はさすがに上に防寒着を着てるよ」
聞かれた事には答えた。
「防寒着の下はそれなんですか!」
何を当たり前の事を言っているのかなこの子は。
「ハイハイ、それで何処から回る?」
そろそろ本題に入ろうとし入り口を見る
「あ、すみません、先輩の素晴らしいお姿に気が動転しておりました、11時半ですからご飯から食べましょう」
横に並び店内へ入り話しかけられる。
「先輩は何が食べたいですか?」と訊いてきた
「んー、雨湯児さんは食べれないものはあるの?」
と、訊き返す。
「今の所は食べれないものは出会った事ないですねー」
好き嫌いないなら私は。
「それなら、和食がいいかなー、あそこの定食すきなんだー」
雨湯児さんはいいですね、と言い歩き出した。
「先輩…本当に普段はこの格好なんですか…」
何やらブツブツと呟いている、大丈夫だろうか、まぁ大丈夫だろう。
小声で何かまだ言っている。
「先輩…胸おっきい……」
……聞こえてますよー。
レストランに入りやっと落ち着きを取り戻したようだ、メニューを取り2人で覗き込む。
「魚にするべきか肉にするべきか…先輩はどれですか!」
力強く訊いてきた。
「今日は魚にしよう、焼魚定食にするよ、雨湯児さんは?」
そう訊くと。
「それなら私は山賊焼定食で!」
2人それぞれ注文をすませ来るまでの間に色々話しをした。
「今日は誘ってくれてありがとうね、なんだかんだ2ヶ月ぐらい出掛けられなかったから久しぶりでなんだか楽しいよ」
素直に思ったことを伝えておけば無難だろう。
「いえ、こちらこそありがとうございます、先輩大変でしたでしょうし、少しは気分転換になれば嬉しいです……ただ、その服装は…私には刺激が強いですぅぅうう、お腹だしてるよこの人…おっぱい大きいし…」
せめて胸と言いなさい。
「中学からこのスタイルだからね」
と言うや否や。
「中学からそんなスタイルなんですか!なんて発育のいい!」
「服装のスタイルな、胸は今の方が大きいから」
と釘刺す。
「じーーーー」
じーっと私見ている、何か、いけないことでも言いましたかね私は。
「お待たせしましたー」
そういい店員がやってきて注文した物が目の前に置かれる。
2人揃っていただきますと言い食べる。
「美味しですねこれ、先輩!
すごく美味しそうに食べる。
「ここの定食美味しいよね」
濃すぎずちょうどいい味付けで白米とよく合う。
「先輩お肉少しどうぞ」
そう言い私のお皿へ置く。
「いいの?ありがとう、じゃあ私も」
はいっといいお箸で挟み口元まで持っていってしまった。
ついファスにしてた事が出てしまった。
「え、あ、ありがとうございます」
雨湯児さんは少し驚きつつ魚の切り身を食べて。
「お、美味しいです!」
と言い食事を終えたのだ。
会計をしようと思い伝票を取ろうとしたら。
「今日のお昼ご飯は私が出します!」
そう強く言われてしまってはどうしようもない。
「ありがとう、じゃあ次は私が出すね」
それが穏便だろう。
レストランを出て。
「さあ、何処から回りましょうか先輩!」
そう言い私の手を引っ張って行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます