第3話 動き出す想いと…………
仕事の帰りの途中に晩御飯を買って帰宅をする。
ファスと暮らしてた時は晩御飯の材料をかって帰ってたが今はお弁当だったりお惣菜ばかり、強いて料理は麺を茹でるぐらいだ。
違いがあるとするなら素麺、うどん、パスタの違いだろう。
玄関を開けて中に入ると目に付くところにファスと私の写真があるようにしてる、そしていつもただいまと声をかける。
「ただいま、今日はファスの後輩に会ったよ、同じ部活なんだってさ、それがまさか私の職場に来てるなんてすごい偶然だよねー、
ファスの事すごく悲しんでたよ…色んなところで色んな人に思われてたんだね…」
ファスと暮らしてた時は朝御飯はファスが作って晩御飯は私が担当してた、本当に作るのが楽しかった、あんなに美味しそうに食べてくれるし作り甲斐がホントにあった。
「あー、思い出すと泣きそう…もう…料理する自信がないや」
正直料理も思い出だらけで辛い、どうしたらいいのかまだ分からない。
「あ、そうそう。明日ねその後輩の雨湯児さんとお出かけするの、気を遣わせちゃったのかな、でもねーあの子私より貴女との事を多分知りたがってるんじゃないかなー、確信はないけどね、直感かな…少しは話してもいいかな?」
返事はないけど大丈夫かなと私は思った。
「さ!ご飯食べてお風呂入ってゲームするぞー!」
無理矢理元気を出すしかなかった。
お風呂に居てもゲームしていてもベッドに横になっても全てファスに関係していて恋しくなるのと辛くなるのとどうしていいか分からない…もう一ヶ月か…
「速いな…昨日まで居たみたい」
実際亡くなる2週間前まではここに居たのだ
分かってる…亡くなるまでに心の準備もしたのに未だ彼女を追ってしまう。
「だめだめ!私の記憶にはしっかり生きて一緒にいるのだから」
ウジウジしててはファスに怒られてしまいそうだ。
「おやすみ」
私は1人しかいない2人用のベッドで半分だけ使って眠りについた。
朝8時に目が覚める。
「うーーっはぁ」
しっかり伸びをしてベッドから降り洗面台へ顔を洗いに行く。
朝ごはんはトースト2枚だ、1枚はバター、もう1枚は苺ジャム。
私の朝はタブレットで動画を流しながらのんびり食べる、飲み物は紅茶だ。
「いちごジャムとダージリン…今日も最高の味だね」
私はこの朝食の時間が好きだ…今は一人だけどファスが居たときはコレにサラダやら卵焼きがあった。
「えっとー、今日は11時にショッピングモールに現地集合っと、2人なら集合じゃなく待ち合わせ?」
しょうもない事を考えられるぐらいにはなった。
動画を見ながら食べ、片付け軽く掃除しておく
「今日はオシャレしていくかな…誰かと出かけるのもファスが入院してからしてないし」
私はいつもの外出ようコーデで行くことにした。
ファンデーションにアイシャドウと口紅は赤みの強いオレンジ色を使う。
「今日は何色にしようかなー、暑くなりだしたから上は薄い青にしようかな、下はー…んー薄い緑にしよう」
私の服装は上はハーフキャミ、下はキュロットをよく好んで着ている。
正面から見てブラが見えないぐらいの着丈だ、その上に透けるぐらいの薄い生地の長袖を羽織る。
普通の靴下にブレスレットひとつ、胸より下まである髪をまとめ上げて完成。
「お出かけモード完成っと、そう言えば初めて私の私服を見たファスは面白かったなー」
中学からこのスタイルで出かけてたからこのまんま目の前に現れた私を見て彼女は「なんだその格好はー!素晴らしいーいやけしからーん」と舐め回すよう見てきてたのを思い出した。
「あの子はどんな反応するかな、さぁ行くかな…行ってくるね」
私は写真を見て日傘を手に取り玄関を開けた。
さぁ、久しぶりの誰かとのお出かけだ…何かいい事ありますように。
心の中で祈った私は車に乗り込んで目的に走り出した。
「…ショッピングモールなら日傘いらなかったかも…」
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