第一章 幼少期編

第二話 誕生〜周りへの興味津々期

「縺�◆縺橸シ∵黒縺セ縺医m��」


(ん?何だ?何か聞こえるぞ?

 それに何かすごく激しく体を揺さぶられているんだが……?)


「繧ッ繧ス�√@縺、縺薙>縺ェ縲ゅ∪縺�逕溘∪繧後k繧薙§繧��縺医◇��」


(何かよく分からない声みたいなのも聞こえるが……

 まぁまだ真っ暗だしものすごく眠い……

 無駄な抵抗はせずもう少し寝るとしよう……)






 ――――






 ふと気が付くと俺は見た事のある景色の中にいた。

 東京のど真ん中、永田町だ。

 後ろを振り返ると俺の背後にはフードを目深に被った幼い少女と、さらにその奥には国会議事堂が見える。

 そして正面には数台の装甲車やパトカー、それらの隙間を埋める様に自衛隊や機動隊の様な人達がこちらへ警戒心剥き出しで対峙している。


(何だこの状況……?)


 透明な盾を構えた人達の後ろにはマスコミの人達も大勢見える。

 昼間でも分かるぐらい絶え間なく光るカメラのストロボ群だが、その内の一つが激しく光ったかと思ったらまた俺の意識は遠のいていった。






 ――――






(ん!?)


 暗闇の中また俺は目を覚ました。


(今のは何だ?よく覚えていないがすごく緊張感や高揚感を感じたのは何となく覚えている……)


 まだ夢心地の様で、もう何が夢で何が現実か分からなくなってきていたが、とりあえず少し前に感じた激しい揺れや意味の分からない逼迫した声のやり取りは今はもう聞こえなくなっている。


「縺奇シ溘◎繧阪◎繧阪°縺ェ��」


 何となく聞き心地のいい落ち着いた男性の声が聞こえてきた。


(あぁそういえば俺は転生したんだった……

 とするならば今聞こえたのはあの光る玉が言っていたトートシン語か?)


「鬆大シオ繧鯉シ��大シオ繧鯉シ�」


 意味は分からないが何となく応援されている気がしたので俺はその温かく優しい声がする方へ精一杯手を伸ばそうとした。


 パキッ!

(え!?ん!?)


 何かにヒビが入った様な乾いた音がしたと思ったら亀裂から薄っすらと光が差し込んできた。


(え、これ、もしかして……卵的な何かの中に俺はいるのか……?)


 少しずつ状況を飲み込めてきた俺は、自分が哺乳類ではなく爬虫類なのか……等と考えると悲しくなりそうなので、ひとまずはお得意の思考放棄する事にした……


(よし、まずはとりあえずこの卵の殻を割って中から出よう)

 パキッ!パキパキッ!

(殻が割れて外が見えてきた!それに肌色の手が見えたから爬虫類ではない!

 とりあえずもう少しで全て殻が割れそうだ!)

 パキパキッ!ペリペリッ!


 完全に殻を突き破る事が出来た様だ。

 生まれたばかりだからなのか、近視が強くて全てがボヤけて見える。

 見渡すと近くにいた一人の男性が俺を抱き上げて興奮気味の泣き声で話し掛けてきた。


「おおぉぉぉ〜、繧医¥鬆大シオ縺」縺溘↑��」


 相変わらず前半の感激している風な叫び以外は理解が出来ないが、きっと俺は祝福されて喜ばれているであろう事を声の様子から察した。


(そういえば、人間と同じ様に産声を上げた方がいいのかな?

 でも正直、見た目は赤ん坊だとしても精神年齢は立派な大人……

 オギャーって言うのはかなりキツイ……)


「おあおうおあいあう」

「縺�!?」


 とりあえず日本語で「おはようございます」と言おうとしたが舌が上手く動かなかった。

 しかし、卵だから意味がないのかもしれないが肺呼吸をしている証明も出来ただろうし、生後すぐの赤ん坊が何かを伝えようとしたのが分かったのか、男性が驚いてくれたからサプライズ演出が出来た様で俺は満足だ。


「縺雁燕縺ョ蜷榊燕縺ッ、サンノ!」


 何を言っているのか分からない男性は一旦置いておいて、俺はボヤける視界で辺りを見渡してみたがこの男性以外に人の気配はない様だ。

 そして生まれてすぐ光にさらされて目を酷使し過ぎたからか、目がシパシパしてきた。


(やばい、眠い……目が勝手に閉じてしまう……)




 ――――数日が経った。


 視力も少しずつ良くなってきて色々と見える様になったので俺の生活環境が分かってきた。


 まず、俺の名前はたぶん【サンノ】というらしい。

 たぶんと言ったのは、俺に向かって話し掛ける会話の中でその言葉が頻繁に出てくるからだ。


 そしてどうやら俺に母親はいないのか、最初に俺を抱き上げてくれた父親と二人で暮らしている様だ。

 そもそも、俺の種族の出産?産卵?に女性が必要ないのか、母親が産卵後何らかの事情でいなくなり父親だけ残ったのかはまだ分からない。


 その父親だが、見た目は恐らく二十代前半位、細マッチョでグレイヘアが似合うイケメンだ。

 そんな父親だからなのか、免疫を付ける為なのか、この世界のスタンダードなのかは分からないが、この家には色んな種族の乳母さんが代わる代わるやって来る……

 後になって聞いた話しでは、授乳を通して各種族の魔力や耐性を受け取れるらしいが、例えそのメリットを分かっていたとしても実際に代わる代わる乳母さんを連れて来られる父親のヤリ手っぷりには驚く。

 俺が女性を口説ける年頃になったら父親呼びから師匠に変えたいと思う。


 代わる代わる来てくれる乳母さんの種族を見ているとどうやら、


 天使っぽい人

 悪魔っぽい人

 獣人っぽい人

 エルフっぽい人

 地球人と同じっぽい人


 という感じで転生前に光る玉が言っていた通り色んな種族がこの世界にはいる様だ。

 確か玉は七種族と言っていたのでこれ以外にもいるのか、もしくは俺が同じ種族と勘違いしているのかはまだ分からない。

 そしてこれも後から聞いた話しだが、俺はどうやら竜人という種族らしい。


(だから俺は卵から生まれたのか!)


 と、その話しを聞いた時は勝手に結論付けて自分を納得させた。



 次に、家を観察すると、転生前に聞いた通り技術レベルは地球に近く、見慣れた家電の様な物が多い。

 エネルギー源は電力ではなく魔力依存と聞いていたのでどう違うのか詳しくはまだ分からないが、生活水準としては地球の時とそう変わらなさそうで安心した。

 何が違うのか、使い方や仕組みはどうなっているのか、俺の少年心(?)がすごくくすぐられるがせめてハイハイが出来ないと自分で触る事は出来ないだろう……


(もどかしい……久々に早く年を取りたいって思う……)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る