第8話

 その日から奇妙なことが続いた。毎晩、非通知の電話がかかってきて出てみると、相変わらずノイズ音しか聞こえてこない。どれだけ無視しても出るまでかけ続けてくる。1度ならず、2度までも電話主に対して声を荒げたが効果は無かった。

 他にもどうも電化製品の動きがおかしいような気がしてならなかった。まるで意志をもって動き出しているような、人が中にいて操っているような、そんな感覚がした。しかし、これは翼の言葉を変に意識しすぎてしまっているせいなのだろう。

 変化があったのは1週間後だった。いつものように非通知の電話がかかってくる。すぐに出て、すぐに切ろうとすると、その日はノイズが聞こえなかった。この非通知は違う人なのではとそう思い、耳に当てる。もしもしと声をかけるも返答がない。息遣いも聞こえず、コールセンターの機会音声の主がスマホの向こうにいるような感じを受けた。趣向を変えただけだと、切ろうとした瞬間、女性の声がした。抑揚がなく、無感情な声だった。その声はこう告げた。

「代わりにしておきました」

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