第19話 いてこましますわ~~!!
「あんた、なんでウチの麗気の中で……!」
おもむろに立ち上がったうちを見て、糺ノ川が目を丸くする。
立ち上がったうちの姿勢は、片腕をすらりと伸ばし、もう片手を緩やかに曲げた構えになっていた。
そう、これは社交ダンスのポーズ。腕の中に蓮歌の体温に似た温もりを感じる。
ごく自然にワルツのリズムで足が動く。さんざん蓮歌の足を踏んでしまった、あの魔法のようなステップ。うちの背中に真っ白な羽根が広がった気がした。
そしてうち自身も気が付かぬまま、糺ノ川の背後に回り込んでいた。
「そんなあほな……!」
糺ノ川がこちらへ拳銃を向け始める。
うちに焦りはない。これは自分の力だ。何をするべきかは説明されずとも分かった。
「マナーがなっておりませんわ」
全身から右手に温もりを撚り集める。優雅に、エレガントに。
半身を大きく大きく引き絞る。脳裏にいつの日かの万博記念公園の花畑が広がった。
うちは小さく息を吸い、最大級の気合と共に拳を繰り出した。
「いてこましますわ~~~~~~~‼」
お嬢様力学第一法則、〈均等の法則〉。
お嬢様力は高い側から低い側へ移動する。
うちは渾身の筋力とお嬢様力を込めた拳を、糺ノ川の顔面に叩き込んだ。
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