第5話 バレンタイン前日

 バレンタイン前日。


 詩音は湯田朱音を自宅に呼んだ。


 一緒に山崎君に渡すチョコを作るためだ。


 チョコと共にメッセージカードも添えることにした。


 『山崎君、大好き』詩音はそう書いた。


 「朱音はメッセージカードなんて書くの?」


 「『愛してるよ』かな」


 「う〜ん、何か重いね」


 「別に良いやん」


 「朱音のそういうところ怖いよ」


 「何が怖いや!ええっ!」


 いきなり朱音は怒鳴った。急な態度の急変に詩音は驚いた。


 「ごめん私PMS(月経前不快気分障害)なの」


 「あっそうなんだ、急に怒んないでよ、怖いじゃん」


 「ごめんごめん」


 朱音はそう言うと、耳に髪をかける仕草をした。

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