第2話 口を閉ざす友人

 朝、教室に入ると、ザワザワとした雑談があちらこちらから聴こえてきた。


 「おはよう詩音」


 挨拶してきたのは親友のマナだ。


 「おはようマナ」


 カバンを机の横に立て掛けると私は椅子に座った。マナは私の机にお尻を乗せるように座った。


 「ねぇマナ、訊きたいことがあるんだけどいい?」


 「え?なに?」


 「あのね、山崎君の彼女って誰なの?」


 「えっ?詩音知らないの?てか逆になんで知らないの?」


 「なんでマナは私が山崎君の彼女を知っていると思っているの?」


 私がそう言うとマナは顔をしかめた。まるで私に同情するみたいに。


 「ちょっと詩音には言われへんわ。」


 「なんで?なんで?」


 私に言えないってどういうことだろうか。よっぽど問題のある人物なんだろうか。


 「マナ友達でしょ?言ってよ」


 「友達やから言われへんの。詩音はもう山崎君のこと忘れて」


 「忘れられないよそんな簡単に」


 「受験生でしょ、詩音は。勉強しないと」


 私の疑念は深まるばかりだった。


 しかしこの後、私は真実を知って身体が半分に折れるほど反り返り、仰天することになる。

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