第53話 オカルトスポット探訪 旧生駒トンネル
*この文章は、かつて某所に投稿しようと思って書いたものです。
幸いにも、投稿は思いとどまったのですが、このエッセイを書いている時にデータを見つけたので公開してみることにしました。
1 はじめに
仕事で大阪を行った際に、電車の路線図で気になる駅名を見かけました。それは大阪府と奈良県の境にある石切駅で、近くには、心霊スポットとして有名な旧生駒トンネルがあるのです。時間に余裕があったので、見に行くことにしました。
2 旧生駒トンネルとは
旧生駒トンネルは、近畿日本鉄道の石切駅と生駒駅を繋いでいたトンネルで、険しい山の斜面に掘られています。現在は使用されておらず、後に作られた新しいトンネルが利用されています。
心霊スポットと呼ばれるようになったのは、過去の事故が原因だと言われています。トンネル掘削中の事故、完成してからの電車の運行中の事故によって、いつの間にか「でる」と言われるようになったみたいです。
事前に軽くネットで検索してみると、実際に行ってみた人のブログがいくつか見つかったので、その手の場所として有名なようです。中には奇妙な現象が起こった、と書いてあるものもありましたが、何か起こるでしょうか。
3 現地の様子
現地に行ったのは、2015年頃です。時間帯は午後でした。
石切駅のホームに降りて線路を眺めると、現在使用されている方の生駒トンネルが見えます。トンネルが掘られている山は非常に険しく、大変な難工事であっただろうと推察されます。改札を通って駅前の案内板を見ると、ちゃんと旧生駒トンネルがのっていました。観光名所というわけではないと思うのですが、どうなのでしょう。
石切駅は山の中腹にあり、周囲には住宅地が広がっています。大阪市街への通勤を意識して開発されたのか、駅周辺の平らな土地に建物が密集しているように感じました。一方で、少し離れると深い山になっているので、住宅街と手付かずの自然が背中合わせで、不思議な印象を受けました。
山裾の方をを見渡すと大阪市街が綺麗に見えます。当日は昼でしたが、夜間なら綺麗な夜景が楽しめるのではないでしょうか。
住宅地を抜けて歩いていくと、何やら柵で囲われた場所が見えてきました。
もしかして、と思ってスマートフォンで地図を確認すると、そこが旧生駒トンネルへ続く場所のようでした。金網越しに旧生駒トンネルの入口が、かろうじて見えますが距離があるのでよくわかりません。なにやら小さな神社も意味ありげにありましたが、見に行くのは無理なようでした。私が見たブログでは、トンネル前まで行った体験談が書かれていたのですが、最近になって入れなくなったようです。
どうやら心霊スポットとして有名になりすぎたせいか、封鎖されてしまったようです。すぐそばに民家がたくさんありますので、住民から苦情が出たのかもしれません。もう少しよく見えるところがないか周囲を歩いてみましたが無理でした。
残念な結果に終わりましたが、皆様も心霊スポットなどに行かれる際は社会のルールを守って行動するようにしましょう。周囲の看板には、無断侵入した際は警察に通報する旨が表示されていました。
ホラー小説や映画などでは頼りにならない警察ですが、現実の警察はある意味では霊などより恐ろしい存在です。皆様もちょっとした出来心から、ご自身の社会的地位や名誉を危険にさらすことのないようにしましょう。
なお、私は今までに職務質問を受けたことが3回あります。
4 現地に行ってみて
結局、金網越しに遠くからトンネルの入口を眺めただけになりましたが、実際に現地に行ってみると怪談の舞台としてはピッタリだなと思いました。トンネル付近からは大阪市街を見下ろすことができますが、これは市街地の方からも車や電車で簡単に来ることができるということでもあります。
つまり怪談話によくある、友人たちと集まっているうちに盛り上がって心霊スポットへというシチュエーションにもってこいでしょう。夜景を目当てにきたカップルが、思いつきで心霊スポットへというのもいかにもありそうです。実際、昼間に見てもなかなかの景色でした。もしかすると、暇を持て余した大学生が、肝試しにやってきたことがあったのかもしれません。
5 まとめ
現地が閉鎖されていたのは、有名になりすぎたゆえの弊害というところでしょうか。管理者の方にしてみれば、事故を防いだり近隣住民とのトラブルを防止するためにやむを得ない措置だったのだと思います。いずれにしろ、節度をもって楽しみたいものです。
この世には常識では計れない出来事があるのかもしれませんが、この世の法律やルールはきちんと守りましょう。他ならぬ自分のために。
6 追記(2024年6月)
心霊スポットとして有名だった旧生駒トンネルですが、お酒の貯蔵庫として利用されることになったそうです。トンネルは湿度や温度が安定しているので、保管場所として適しているのでしょう。また、見学ツアーなども行われているようですので、応募すれば堂々と中を見ることができるようです。
今や心霊スポットという感じはなくなったようですが、歴史のある建造物でもあるので、このように有効活用されるのは良いことだと思います。
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