第27話 男女の間に友情は成立するか、というミステリィなテーマ
男女の間に友情は成立するか、というテーマは小説やドラマなどの創作の世界で一定の人気があるように見受けられる。友情か愛情かという悩みや、友達以上恋人未満という関係性に惹かれる人が多いのだろうか。
しかしながら、私は「男女の間に友情は成立するか」というテーマというか問いかけを見るたびに白けた気分になってしまう。そんなもの成立するに決まっているだろう。むしろ、どうやったら友情以上のものが生まれるのか。などと、どこかの誰かに問いただしたくなってしまうのである。
さて、私は今までの経験から「男女の間に友情は成立するか」というテーマに興味はないのだが、この手の話題が好きな人は結構多いようなのである。
社会人になってからの飲み会での話なのだが、なぜだかこの話題で盛り上がったことを覚えている。参加していた人は二十代半ばから後半あたりの年頃だったと思うが、みんな熱心に議論をしたり持論を語ったりしていた。中には、それなりの役職についている人や結婚している人もいたのだが、そういった人でも夢中になっているのを意外に感じたことを覚えている。
私はビールを飲みながらぼんやり議論を聞いていたのだが、だいたい男女で意見が別れているようだった。 男性は成立しないという意見が多く、女性は成立する、あるいは成立して欲しいという感じだろうか。
男性側の主張としては、いくら友情といっても、深まっていけば行き着くところは愛情だというものである。また、本能というか……はっきり言ってしまえば性欲の問題を無視できないという意見もあった。いくら素晴らしい理論や社会的な建前があっても、人間が動物である以上は本能的な欲求を無視し得ないということだろうか。だから、男性は女性に友情以上を求めるようになる、というような意見だったと思う。
女性の方は、男性が自制してくれれば友情は成立する、というような意見だったろうか。恋人とか配偶者以外でも、気兼ねなく話せたり相談できる異性の友人は貴重な存在なのである。なのに、仲良くなるにつれて面倒なことになっていく。友人としての好意なのに、それ以上を求められても困る、というような感じだったろうか。
議論は、男性側が自制するべきとか、男性側に無茶を押し付けられては困る、みたいな方向になっていった。多くの人が自分の経験に基づく持論があるようで、飲み会は大いに盛り上がった気がする。おとなしそうな人が過激な意見を言ったり、実際に友情が成立しなかったという体験談が披露されて、場の人々が思わず考え込むような場面もあった。
ちなみに、私に意見が求められるようなことはなかった。もっとも、今まで友情以上のものが成立したことがない、などと言っても
それから月日が流れて、現在の私は結構な年になったが、未だに女性との間に友情以上のものが成立したことはない。むしろ友情すら成立していないような気もするが、あまり深くは考えない方が良いだろう。男女の間に友情は成立するか、という問いはこういう意味ではないはずである。なぜだか、知人以上友人未満というな謎の言葉が頭に浮かんでしまうのであった。
まあ、私の話は置いておいて「男女の間に友情は成立するか」という問いは、答えを求めているわけではないのだろう。男女関係をどのようにとらえているか、あるいはどのような関係を望んでいるのか、ということを考えるための問いかけなのではないだろうか。ゆえに、創作の世界だけでなく、現実の会話などでも盛り上がるのだろう。
ただ、おそらく少数派の私の意見としては、これで盛り上がれる人というのはある程度はモテる人、あるいは交際経験がある人だと思うのである。友情すら存在したか怪しい私ぐらいの人間だと、あまり面白いとは思えない。今や友情が存在したら十分だろ、と思ってしまうであった。
もはや、何のエッセイかよくわからなくなってきたが「男女の間に友情は成立するか」というテーマで盛り上がれるというのは、きっと良いことなのだろう。
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