第4話 ようこそ我が家へ
家族が書類に記入している間にふと視線を感じ、振り向くと、残されたヒナが寂しそうに立っていました。
私の視線に気づくと再び連れてってとアピールを始めます。
残されたヒナに素敵な飼い主さんが現れますようにと、願ってやみませんでした。
そこまで思うなら連れていけばいいのにと思われているかもですが、私にも事情がありまして。
私、椎間板ヘルニアを十年以上患っています。本当はもうちょっと長いですが、年をごまかしたいお年頃なので短めに。
一羽ならお世話も遊ぶ事も、ゆっくりできますが、二羽となるとお世話も二倍、遊びも責任も二倍になるので、どうしても自信が持てなくて。
後ろ髪を引かれる思いでお店を後にし、車に乗り、家族が運転する横で、ヒナが入った箱を手のひらで包み、帰宅しました。
ヒナが入った箱を開け、出てくるのを待ちます。
……待ちます。
……出てきませんね。
動く気配すらありません。
心配になり、箱を持ち上げ中を覗くと、ヒナは丸くなって熟睡していましたよ!
おおらかというか、図太いというか。
歩く振動もものともせず、ぐっすりと眠れる神経に、将来大物になりそうな予感がします。
熟睡中のヒナを箱から出すために、箱に敷いてある紙をゆっくりと引き出し、丸まったままヒナが登場しました。
自動的に箱から出て、照明の明るさで目を覚ましたヒナは眠りを妨げられて目を細くします。
『何よもぅ、
少々不満気味でしたが、完全に目覚めると見慣れない部屋にも動じる事もなく、差し出した手に乗ってきました。
生後五週間くらいでしょうか、きれいにヒナの羽になっていました。ペットショップを出てから時間が経っており、お腹をすかせているかもと、餌を作ります。
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