第2話 試される動体視力VSヒナシャッフル
踏みつけ乗り越えあっているヒナを前に、どちらの子をお迎えするかで私は困惑した。
どちらもかわいい。できるなら二羽ともお迎えしたい。だが、私に二羽もお世話ができるのか?
以前、セキセイを飼っていた。一羽飼いで、溺愛して育てていた。
二羽をお迎えして、平等に愛情を注げるだろうかと考えてしまう。
二羽のうち、より惹かれた子を連れて行こうと決めたはいいが、ケースの中で激しく動き、入れ替わるヒナたち。
まるで紙コップのコインシャッフルを見ている気持ちになる。
実際はヒナシャッフルを見ているわけだけど。
動体視力がないに等しい私は、ヒナの動きを追えず、惹かれた子を見失い、どちらが惹かれた子か、わからなくなってしまう。
生産地が書かれていたので、同じブリーダーさんの元に生まれただろうヒナは顔がそっくりだった。
二羽を見分けていた特徴は、翼を広げた時に見えた白い羽根が一枚有るか無いだけで、たたまれた状態だと見えないのだ。
直感を信じ、店員さんにこの子がほしいと指をさして告げる。
店員さんも目視して確認した後、連れて帰るための箱を持ってきてくれた。
相変わらず乗り越えあっているヒナたちを前にして店員さんが固まる。
「えーっと、どちらの子でした?」
「!!」
店員さんも見分けがつかず、困った表情だ。
「えっ? どっちだろう」
ポロッと出た言葉に、私は情けなさを感じた。
二羽がいるケースを店員さん、私と家族と三人で凝視する。
「この子です!」
「はい。あれっ?」
店員さんも見失う。何度か繰り返した後、やっとの事で選んだ子を持ち上げてくれた店員さんは給餌の仕方を教えてくれた。
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