第124話 受け継がれる女王の血
林の中に血の
プリシラが仕留めた大
「ハリエット。ありがとう」
そう言うとプリシラは
それを受け取りながらハリエットは先ほどのプリシラの恐るべき攻撃を思い返し、思わず身震いする。
(この
ハリエットは
もちろん
だが、自分にはプリシラのような速度でこの
プリシラの異常筋力があってこそ出来る
(あれが女王の血を受け継いだプリシラの力……)
ハリエットの心に浮かび上がるのは戦士としての少しの
プリシラはいずれ次期女王として君臨する。
第8代ブリジットとなる者には知恵と人格、そして何よりも力が必要なのだ。
プリシラにはその資質がある。
ハリエットは女王の資質を目の当たりにして、心が震えるような興奮を覚えていた。
そんな彼女の高揚した気分を知ることもなく、プリシラはハリエットに笑みを向ける。
「とてもいい
「大丈夫。そんなにヤワな
そう言うとハリエットは周囲を見回す。
プリシラも周辺に目を向けたが、
彼らは先ほどまでのように
その様子に
「これ以上は戦う必要ありません。
エステルは赤い血の付着した
「彼らは食糧を得ることに
彼らとて狩りをするのはリスクがあるものなのだ。
狩りの成功率は決して高くなく、獲物を取り逃がしてしまう恐れもあり、逆に獲物からの反撃を受けてしまう危険も
その危険を
「最高の食料が目の前に落ちていますので、彼らはもはやそれにしか興味がありませんよ」
そう言うとエステルは死んだ
プリシラの元に歩み寄って来たオリアーナもエステルの意見に同意する。
「あれだけあれば……群れの食い
そんなオリアーナの
だがバラモンはきちんと訓練を受けた
プリシラはエステルとオリアーナの話を聞き、頭上に目を向けた。
木の上ではアーシュラがじっと状況を見守っている。
そんな上官にプリシラは声をかけた。
「隊長! 撤退の許可を!」
プリシラの言葉にアーシュラは周囲を見回し、それからプリシラに目を向けた。
「許可します。
その言葉にプリシラは一番遠くで今もなお
「ネル! 撤退よ!」
「……チッ。分かったよ」
ネルも周囲の
後方では
☆☆☆☆☆☆
アーシュラは吹き矢を
(……女王の血というのは
アーシュラは長年クローディアに
クローディアの声には聞く者を
威厳に満ちていて、それでいて相手を包み込むような優しさに
そんな声や話し方、振る舞いや
もちろん同い年として子供の頃から共に育ったアーシュラは、それはクローディアの一面であって、彼女にも普通の少女としての側面があったことは知っている。
だが女王の資質を持つ者は若い頃からその頭角を表すのだと、プリシラを見ていると思う。
彼女は母であるブリジットのカリスマ性をしっかりと受け継いでいるのだ。
先ほどの
あの時、プリシラはあの場を支配し、決然たる言動とその力をもって女たちを統率してみせた。
(プリシラ……彼女は道を間違えなければ、必ず良い女王になる。何としてもこの任務を成功させ、彼女をダニアに連れ帰らなければ)
現在は議会制政治を
だが今も女王という存在はダニアに住む全ての民にとって特別であり、唯一無二の絶対的なものなのだ。
それはこれからも変わらないだろう。
アーシュラは次代の女王をしっかりと未来へ導く重責に、あらためて気を引き締めるのだった。
***********************************
今回もお読みいただきまして、ありがとうございます。
次回、第125話『蠢く者たち』は11月9日(土)午前11時50分に
掲載予定です。
次回もよろしくお願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます