第5話初めては全部あなたがいい前

「おはようございます、セラフィ様」

「あれ? アレク……。もうお昼?」


 寝ぼけ眼をこすると、アレクシスが掌を額に置いた。


「まだ朝です。朝の訓練の前に寄ったら、夜に具合が悪くなって早くに眠ったと聞いて……、起こしてしまうけれど心配で――」

「こんな早くに訓練してるの?」


 よくよく時計を見れば、セラフィの起床時間の三時間も前だ。


「熱が下がっていて安心しました。もう一度眠ってください」

「うん、でも何か夢をみて……。痛い……」

「痛みが? 熱はないようですが、頭痛ですか?」


 頭痛じゃないけれど、こんな場所どうしてと、セラフィは上掛けをとった。


「腫れてる!」


 セラフィの股の間が膨れていて、痛みはそれだとわかった。寝るときは下履きをはかないから絹の上下のパジャマの下で腫れているのが見てわかった。


「え……、ああ!」


 納得したような声をだしたアレクシスにセラフィはどうしようと訴えた。


「病気かもしれない!」

「えっと、夢を見たんですか?」


 珍しく歯切れが悪いけれど、アレクシスは落ち着いていた。そんなに酷い病気じゃないのだと思って、セラフィは少しだけ安心した。


「うん、昨日アレクがキスしてたでしょ。あれを夢で見たんだ」

「昨日、見たんですか?」


 途端にうろたえたような顔をしたから、恋人のことは内緒にしておきたかったのかなと反省した。


「僕、ショックだった。アレクに恋人ができたら一番に教えてもらえるって勝手に思ってたから……」

「恋人じゃありません! 彼女は結婚して田舎に帰るそうです。ずっと情報を流してもらって……ではなくて、色々便宜を図ってもらっていたのでお礼をしようと思ったら、思い出にキスして欲しいといわれて……。見られてたなんて気づきませんでした」


 セラフィの視力は、カリナが驚くくらいなのだと言わなかった。何となく、のぞき見していたのが悪いことに思えたからだ。


「僕、夢の中であの子のかわりにアレクにキスされてた……」

「それで勃ったんですね。その、そこが腫れているのは病気ではないんです。セラフィ様の身体が、大人になってきた証拠です。そうなったら、出してあげないといけません」


 頭を撫で撫でされながら話を聞いた。心持ち早い口調でアレクが説明をしてくれた。病気じゃないと聞いて安心した。


この後は少し非公開なシーンになります。


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