第24話
≪リシア視点≫
スフマミを殺せる。
私の人生を支配してきた女をこの手で殺せる。
私の目には床に跪き無抵抗を示すスフマミが映っている。
この女が何を企んでいようと今なら確実に嬲り殺せる。
葛藤はない。
躊躇もない。
その為だけに生きてきた。
その為だけに多くを犠牲にしてきた。
今更何があってもこの女を殺す事に変更はない。
しかしその大願成就を目前にして私には葛藤や躊躇がない所ではなかった。
何も無かった。
達成感も喜びも、何も。
今の感情を言葉で表すなら虚しさだろう。
私が元々この女を殺すと決めたのは支配からの脱却と孤児院の仲間達やケープや子供たちの弔いになると考えたからだ。
だがそれは結局は自分が意地汚く生きる為の言い訳だと自覚した。
こいつを殺した時、私はその目的を失う。
滑稽な話だ。
この女の暗殺が成功しようが失敗しようが結局、私はもう生きる気力を持つことなど出来ないだろう。
殺しの為に興行場に行ったときに演っていた演劇の事をふと思い出す。
その内容は何故か私の心の琴線に触れ、舞台に集中してしまい危うく暗殺を失敗する所だった。
主人公の少年とその彼を支配する様に横暴に振舞う母親の話だった。
食事の仕方から人との付き合いまで全てに口を出され母親の思い通りに振舞う事を少年は望まれた。
結局、少年はその母親を不意に殺してしまった。
ようやく悪辣な母親から解放された少年だったが彼は餓死して死んでしまった。
何故なら彼は母親がいなければ食事を取る事すら出来なかったのだから。
その悪趣味な滑稽話に大半の観客は薄っすらと笑い声を出していたが私は恐ろしく感じた。
今はその理由が分かる。
自分と重ね合わせていたのだ。
私の人生の大半はスフマミの物だった。
それが嫌で嫌で仕方がなかった。
だが実際にスフマミを殺せる段階になって気付いた。
私にはスフマミを殺したらもう何もない。
殺した所で私はスフマミに囚われたままなのだ。
私の生き方を悪行を全てスフマミを言い訳にしていた所為だろうか。
彼女を殺したらもうその言い訳は使えない。
私の手はもう既に血で汚れている。
今更表社会で生きていくなど許されるはずがないし私にそんな生き方が出来るのか。
オオヤは私の手で決着をつける事に拘った。
この檻に閉じ込めた時点でスフマミを終わらせる事はオオヤでもナクティスでも出来る事だ。
だがあの男は私を魔改造してまで私自身にやらせようとした。
何故と問うと納得の為だと答えが帰ってきた。
私の知らぬ所で私が何もせずにスフマミが排除されたら確かに自分の無意味さに打ちのめされるだろう。
だが結局は同じことだった。
達成感などない。
別にそれで良い。
この女を殺せるのであれば。
しかし胸につっかえたものがあり、無様に這いつくばるスフマミにトドメを刺さないでいる。
「スフマミ……」
私は結局、リスクしかないにも関わらずスフマミとの対話の為に彼女の前に身体を晒した。
上半身だけを天井にある影から出す。
「ああ……!ベス!」
「……最初に言った通り私は貴方を殺すわよ。ただ貴方が無様に命乞いをすれば私の心がより晴れやかになると思っただけよ。精々喚くといいわ。」
あれだけ恐ろしかった女がやけに小さく哀れに見える。
腹の中に地獄を持つような女なのに。
スフマミは私が対話に応じた事で光明を見つけたような顔となった。
酷い勘違いだ。
私にはお前を許す気も見逃す気もないのに。
「ベス、貴方にしたこれまでの仕打ち……心から謝罪するわ。でも私の話を聞いてほしいの。」
「今更何を言うかと思えば……それが例え本心だとしても許す事なんて出来るわけないでしょう。」
「許しを乞うことはしないわ。ただ話を聞いてほしいだけ。……ベス、貴方がここまで成長した事嬉しく思うわ。私にとって貴方は優秀な子供のような物だったもの。」
その言葉に感情が刺激される。
衝動的にスフマミの腕を影から出現させた刃が切り飛ばす。
「ぐっ……!」
「本当に貴方の醜悪さには驚くわ。まさか母親面で泣き落としにかかるなんてね。」
「ふっ、ふふ。気に障ったなら謝るわ……。でも元は孤児の貴方を本物の母親よりも育てたつもりよ。」
「だとしたら最悪の母親よ。そもそもそれを言うなら自分の子供を何人殺してきたのよ……!」
スフマミは治せば良いのに切断された腕をそのままにして話続ける。
この掃き溜めのタン以下の女と話す意味はやはり無いのではないか。
そう思うが私は何故か話を聞いてしまう。
「彼らは失敗作よ。あの程度で死ぬクズが私の子供なわけないでしょう?」
「お前は母親どころか人間ですらないわ……!」
スフマミは命乞いではなくより悪魔的に振る舞う。
私を説得するつもりなどない様に見える。
死ぬ前に私を不快にさせたいだけなのだろうか。
「あら、随分酷い事を言うのねぇ。私が人でなしならその子供の貴方もそうなるわよ?」
「だから貴方は私の母親なんかじゃ……!」
「……もしかして気づいてないのかしら?貴方って私そっくりよ。」
「……は?」
スフマミの戯言は私の脳を揺さぶった。
こいつと私が似ている?
何の冗談だ?
「あらあら、ほっほほほほ。本当に気付いていない……無意識だったのねぇ。だとしたら本当に嬉しいわ。貴方は間違いなく私の子供よ。」
「な、何を言っている、の、かしら……?」
スフマミはこの追い詰められた状況で本当に嬉しそうに笑った。
「そうねぇ、まずは鏡でも見たらどう?」
「わ、私の不意を突こうと考えているんでしょう?そんな手に引っかかるわけ……!」
「じゃあ一度部屋から出て見てくると良いわぁ。」
私はスフマミに誘導されていると頭では分かっていたが部屋にある鏡を分離した手で眼前に持ってきた。
そして顔を見て息を吐く。
当たり前だが全く似ていない。
「ば、馬鹿じゃないの?全然似てないじゃない。」
「そうねぇ、全然似てないわ。私は南方顔だけど、貴方は西方顔だものねぇ。でもママに似せようとしてくれて嬉しいわぁ。」
「だから貴方何を言ってるのよ!!」
「その化粧、私そっくりだわ。」
「えっ……?」
スフマミの指摘され改めて奴の顔と自分の顔を見比べる。
今の私は久しぶりに化粧をしていた。
外に出る時はいつもこの化粧をしていた。
それは舐められないようにする為に、スフマミに気付かれないようにする為に。
そしてそれはスフマミの化粧と全く同じだった。
「なっ……、えっ……?」
「ほっほ、ほほほほほほほ!分かるわよぉ、子供は母親の真似をしたがる物だものねえ。」
「そ、それがなんだって言うのよ。別に化粧なんて大体一緒でしょう?」
「人によって全然違うわよ?それにその喋り方、私そっくりじゃない。口調から抑揚まで。」
「ふ、ふざけた事言ってんじゃないわよ!」
私はスフマミに咄嗟に怒声で反論した。
しかし、すぐに彼女の指摘が正しいと気づいた。
口を思わず押さえてしまう。
「ほほほ、私には血の繋がった駒や子供は大勢いるけれど腹を痛めて産んだ子供はいないわぁ。でも、嬉しいものねぇ。子供に慕われるというのは。」
「こ、こんな……ぐ、偶然よ。」
「そうねぇ、偶然かもしれないわねぇ。偶々自分の恨んでいる相手と似てしまっただけよねえ……でも、ならどうしてそんなに動揺しているのかしら?」
私がスフマミと似ている?
孤児院の仲間達を殺し、ケープを殺したこの悪魔と?
それは生きる気力のない私でも受け入れ難い事だった。
死ぬ事よりこの女と同類になる事の方が嫌だった。
不意にオオヤの言葉が脳を過ぎる。
人は自らの人生の経験からしか選択を選べない
私は人生の大半をスフマミに支配された。
そう、多くの影響を受けた。
「私も元々は孤児だったのよ?体を売ったり盗みを働いたり、貴方と同じように色々な犯罪をして生きてきたわ。でも貴方の方が優秀だと思うわ。その歳の時の私よりよっぽど人を殺しているわよ貴方。」
「いっ、一緒にするんじゃないわよ!」
「一緒よぉ、まさか私の殺害が犯罪の大義名分になるなんて浅ましい考えはしてないわよねぇ?」
「くっ……!」
それはまさしく少し前までの私の考えだった。
「だから、なんだって言うのよ。そんな事を言ってもあな……お前を殺すことに変更はないわ……ない。」
「ほっほほ、今更話し方を変えなくていいじゃない。可愛いわよ。背伸びしてるみたいで。それに殺したいなら殺せばいいわ。」
「は?」
「私はもう十分生きたもの、心残りは私が死んだ後の裏社会の安定よ。でも、貴方のような後継者がいるんだもの。安心して死ねるわぁ。」
「そんな事私がやるわけないでしょう!?」
「あら、そう?でも暗殺者には望んでなったのかしら?予言するわ、貴方は私のような人間になる。私だって元々は純朴な何も知らない孤児だったのよ。貴方だってきっと成れるわよ」
何故だ、何故こんな戯言を無視できない。
なんでこんなに私の心を揺さぶる。
そんな事は絶対にありえないのに。
でも私はスフマミの様に人を殺してきた。
スフマミの格好を真似、振る舞いを真似て大勢の人間の人生を奪ってきた。
望んでそうしてきた訳ではない。
まるで操られた様にその道を進んできた。
スフマミがそう望んだ様に。
「いや、違う……。貴方は私の動揺を誘ってこの場を抜け出す切っ掛けが欲しいだけ。貴方を殺して私は終わらせるのよ。」
「動揺が丸分かりねぇ。そんなに私と一緒は嫌なの?」
「……当たり前じゃない、死んでも貴方の様な人間にはならない。」
「あら、そう残念だわ。じゃあ私ももう少し抵抗しようかしら。」
「なにを……」
「さっきヴァンパイアの眷属の話はしたわよね。私は眷属に強制力のある命令を出来るわけだけれど……この都市に私の眷属はどれ程いると思う?」
「……間抜けね。詳しく教えてはやらないけどここは都市の中心地から離れているわ。助けを求めることも……助けを求めた所で無意味だわ。」
「ええ、そうみたいねぇ。さっきから救援を求めてたけど反応が無いもの。」
スフマミは私の指摘に一切の動揺を見せない。
おかしい。
圧倒的に有利なはずなのに背筋に冷たいものが走る。
この女の思い通りに動かされている様に感じてしまう。
「ヴァンパイアについてもう一つレクチャーしてあげるわ。眷属には位があるの、最上位はいわゆる同胞ね。適性があり新しい仲間となった者。私もこれにあたるわ。人からの眷属の最下級でいうとゾンビ、その次にグールって所ね。」
「そ、それが何だって言うのよ、だから眷属が何人いようと意味なんか……!」
「そして……ゾンビとグールはね、主人を失うと暴走をするの。いえ、正しくは支配から解き放たれて本能のまま行動をするわ」
その言葉が耳に入った瞬間に頭が真っ白になった。
悍ましいことにこいつの話の意図に私は直ぐに気付いた。
「そしてクイズの答え。都市にいる私の眷属は1,000体を越えている。……私の管理している施設の雑用を任せているわぁ。殆どが闇窟にいるけれど。貴方は私のやっている事よぉく知っているでしょう?」
「うっ……。こ、このカス、クズが……!」
「ほっほほ、子供みたいな負け惜しみねぇ。ご想像通り聖教会の管轄外の孤児院のいくつかにも私の眷属達は配備されているわぁ。もし私が死んだら……幸せそうに眠っている子供達はどうなるでしょうねぇ。」
自分の悪事の大義名分がスフマミの殺害となったのは子供達の犠牲を無くすことに繋がるからだ。
だが今こいつを殺せば都市にいる子供達が惨たらしく殺されてしまう。
そ、そうだ。歯痒いがこいつを監禁して時間をかけて眷属を滅した後にこいつを殺せば……。
「なにやら甘い考えをしてそうだから一応念を押しておくけれど。私の眷属達は陽が昇る頃、私の新たな指令がなければ暴走する様に指令を出しているわ。」
「なっ……!」
「あの男……気味が悪くて警戒していたわ。だからいざという時の交渉のネタを用意していたの。あの男は社会規範から逸脱する事を嫌がっている様に見えたから使えると思っていたわ。」
「嘘つ……」
「嘘だと思うなら殺してみれば良いじゃない。それならそれでいいわ。」
「ど、どういう事よ……。」
「子供が死ぬ可能性がありながら私をこの場で殺せるなら……貴方は私の様な人間になるわ。目的の為に手段や過程を気にせず割を食う誰かを気にしないのなら……きっと闇窟を利用する様になるわ。私が死ぬのは残念だけれど、私の意思を貴方が引き継ぐなら死んでも良いと思えるわ。ほほ、子供を持つのってこんな感じなのかしらねぇ。」
嘘だ。
これはスフマミの苦し紛れの嘘だ。
そもそもオオヤが取引の場に参加する事は不確定だったはずだ。
そのオオヤの対策をするなんていくらなんでも用意周到にも程がある。
それにスフマミをこの場で逃がせば多くの子供達がこれからも犠牲になる。
たとえ多少の犠牲があったとしてもその価値を天秤に掛ければ……。
私はそこまで自分の行動を正当化しようと思考した所で愕然とする。
そんな私をスフマミはニヤニヤと見ていた。
「何を悩んでいるのかしらぁ?簡単な話でしょう?私だったら私を殺すわ。たかだかガキ百数十人を生贄にする程度で目的を達成出来るなんて素晴らしいじゃない。ほらほら、早く殺してみなさい。どんな交渉をしても殺すって宣言していたものねぇ。」
「黙れ!」
スフマミは彼女からすれば余りにも軽い私の覚悟の言葉を嘲る。
頭がグラグラする。
殺せる。
スフマミを殺せる。
けれど、今この女を殺した時。
私はこの女と同じ正真正銘の外道に落ちる。
スフマミの望む通りに。
いつか見た演劇を思い出す。
私はあの主人公の少年と違い母親を殺したとしても支配から抜け出す事すら出来ない。
より思考を、身体を見えない糸で雁字搦めにされてしまうのではないかと恐怖する。
分かっている。
この思考もスフマミに誘導されている。
会話するべきじゃなかった。
力で圧倒したとしてもこの女にとっては私はいまだただの扱いやすい駒なのだ。
そしてこの後に及んで気付く。
何故私がスフマミと対話しようと考えたのか。
オオヤは私に生きるべきだといった。
それは個人的興味からと言っていたけれど……
私はその言葉が、嬉しかった、嬉しかったんだ。
死にたい死にたいと言いながら、私は誰かに生き続ける事を求められて嬉しかったんだ。
浅ましく喜んだんだ。
だから私は今絶望をしている。
スフマミと話をしようとしたのは、こいつと会話する事で殺人を大義名分としたように今後の人生を生きる大義名分を得られるのではないかと心の何処かで期待していたんだ。
だが結果私はもう死ぬしか無くなった。
スフマミを殺した時、私はもうスフマミの支配から抜け出す事は出来ない。
私は死を選ぶだろう。
スフマミを逃がした時、私はまた一から奴を探す事になる。
そして結局私の様なクズはその過程でまた多くの人間を不幸にする。
その未来が予想出来るので私は死を選ぶだろう。
何も知らなければ、何も知らなければ。
私はまだ自分に言い訳して生きられたかもしれなかった。
ここまでお膳立てしてもらったのに、リスクがないわけでもないの協力して貰ったのに。
思考の袋小路に陥り頭を抱える。
頬に温かいものが流れるのを感じる。
嫌、待って嘘でしょう。
「あらぁ!どうしたの?もしかして泣いているのかしら?そうだったわねぇ、思い出したわぁ。貴方って辛くて辛くてどうして良いか分からなくなった時、よくそうやって頭を抱えて泣いていたわねぇ。懐かしいわぁ。どうする?ケープちゃんはいないし今日はママがヨシヨシしてあげましょうか?」
自分が情けなくてしょうがない。
こんな、醜態をこいつの前で……。
こいつにはもう分かっているのだろう。
私にはこいつをもう殺せない事を。
私が逃がす選択をする事を分かっているのだ。
他人の所為にして殺人を繰り返してきた弱い私にスフマミを殺す選択を取る事なんて出来る訳がないのだから。
「……ごめんなさい、ごめんなさい。」
「えっ?何に謝っているのかしら。もしかしてこの腕の事?気にしなくて良いわよぉ。こんなのすぐにくっつくから。」
何に謝っているのだろう。
孤児院の仲間達にだろうか、ケープにだろうか。
今まで私が殺してきた人達か、その人の家族か。
何の利もないのに協力してくれたナクティス達にだろうか。
私が生きる事を望んでくれたオオヤにだろうか。
カタン。
その時、私の耳に何かが動く音がした。
スフマミではない。
音のした方向には机があった。
卓上にはペンがあった。
それは一人でに動きメモ用紙に文字を書き出す。
「な、何……?」
余裕そうだったスフマミが少し怯えが混じった声を出す。
私はそれが誰によるものか知っていた。
"助けがいるかい?"
その文字を見て、私は本当に自分自身が恥ずかしいけれど先程とは別の理由で涙が出てしまった。
「お願い……助けてオオヤ……」
自己嫌悪に殺されそうだ。
自分の浅ましさが嫌になる。
存在価値の無い役立たずだ。
恥ずかしくて恥ずかしくてしょうがない。
でも私は助けを他人に求めてしまった。
だって、自分が生きて良いってそう本心から一度でも良いから思いたいと望んでしまったのだから。
オオヤが肯定してくれた私の命を私自身も肯定したいと醜い欲望を持ってしまったんだから。
返答は直ぐに返ってきた。
“おーけー、じゃあ前向きに考えようか“
誰に許しを乞えばいいのか分からない。
けれどお願いします。
あと少しだけ私に足掻く時間をお許し下さい。
もう少し生きさせてください。
それは私自身への懇願だったのかもしれない。
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