第7話
「取り敢えず、食事にしようか。お腹減ったし。」
俺たちは片道3時間をかけてようやく都市の繁華街に着いた。
俺は失態を取り返そうと彼女を張り切ってエスコートしようとする。
しかし、俺の提案に彼女は暗い顔で下を見ている。
「食事、というのは…。どこか店でということか?」
「うん、そうだよ。近くに美味しいお店があるんだ。」
「すまない、オオヤ。しかし魔族である私は行けないと思っ…!」
「ほら、着いてきて。」
俺は彼女の話を遮り手を取って歩き出す。
店に着くまでの間彼女は顔を赤くして必死に「私はいい」とか「外で待ってる」とか喚いていたが気にせずに連れて行く。
俺は店の前に着くとそのまま扉を開ける。
店主は俺の顔を一瞥すると何も言わずに周囲からの視線を遮れる奥の席へと案内された。
ナクティスは驚いた顔で俺の方を見る。
俺は彼女の目の前にメニュー表を置いた。
「ここの店のオーナーはセリレル海岸沿いの街出身で、海鮮料理が上手なんだ。」
「あ、ああ。ありがとう。」
俺は昨日、ザナークを煽るだけ煽ってギルドから出た後に友人の店を何軒か周った。
今回のデートの根回しである。
魔族である彼女が入店拒否される可能性があった為、あらかじめ許可を取ったのだ。
今回のデートは俺から誘ったものであるし都合も場所も全て俺本位の決定だ。
だからせめてこのデート中、彼女に出来るだけ不快な気持ちにさせたくない。
「おすすめはこのグリフィンのハーブ蒸しかな。」
「海鮮料理じゃないのか…。どれどれ…ど、銅貨10枚か…」
「金額は気にしないで、今日のデートは俺が持つよ。」
「な、なにを言っているんだ。むしろ私に払わせてほしい。それにお金の関係で対等であろうと言ったのはオオヤじゃないか。」
「帝国では誘った人がデートの代金を払うのがマナーなんだ。だから今回は俺に払わせてよ。それで、もし楽しんでくれたなら今度は君から誘ってくれたら嬉しいな。」
「………オオヤに反論するといつも最終的に丸め込まれている気がするのだが。」
「はっはっは、気のせい気のせい。…ほら注文を聞きに来たよ。」
「む…」
席にやってきたのはこの店のオーナーだ。
「やあ、繁盛してるね。」
「おかげ様でね。また今度新メニューのアイデア出し手伝ってよ。」
「うーん、俺の料理の知識ももうそろそろ底が尽きそうだからなぁ」
「…む?彼女とは知り合いなのか、オオヤ。」
「ん、ああ、紹介するよ。この店の店主のリルリアだ。そしてこちらが俺のお客さんのナクティスだよ。」
俺は両者の紹介を簡単にする。
ナクティスは不安が少し滲んだ顔で会釈する。
そんな彼女に対してリルリアは満面の笑みで彼女の両手を握った。
「初めましてナクティスさん!私、リルリアっていうの!オオヤからあなたの事は聞いているわ。」
「ぬっ、ああ、そ、そうか。」
「あっ、ごめん。いきなり馴れ馴れしかった?」
「い、いや、そういう訳では…。し、しかし私は魔族だぞ…?」
「ええ!オオヤから聞いているわ!凄腕の冒険者なんでしょ?」
「リルリア、落ち着いて。彼女は君と違って繊細なんだ。ガツガツ距離を詰めるものじゃな…ぐふっ。」
ナクティスがリルリアの気迫に押されていたので助け船を出した。
代償にリルリアにわき腹を小突かれたが。
ナクティスは突然のリルリアのボディタッチに目を白黒させていたので説明をする事にした。
「ナクティス、彼女は君が持ってきてくれた魔獣の肉とアダマンタイトの購入者だよ。」
「アダマンタイトは正確にはバルデンだけどね。あっ、ちょっと待ってて。」
リルリアは厨房の方に戻っていき、すぐに包丁を片手に戻ってきた。
「ほら、これ!アダマンタイトで作った包丁よ!」
「な、なんと…。アダマンタイトを包丁に加工したのか。」
彼女が持ってきた包丁はきらびやかな鈍色の輝きを放っている。
アダマンタイトは最も固い鉱石として有名でどんな物も刃こぼれせずに切断可能だという。
それを彼女は鍛冶屋に頼んで包丁にしてしまったのだ。
「市場に流通する事も稀だし、私みたいな料理屋が手に入れられるツテもないから諦めてたんだけど…。こいつが持ち込んできてくれたのよ!聞いたらあなたのおかげなんでしょ?」
「た、たまたまだ。」
「はは、リルリアはね、魔物食の探究者なんだ。それで昔からどんな魔物でも切れる包丁を欲しがっていてね。君が持ってきてくれたアダマンタイトは武器にするには少し量が少なかったから丁度良いと思って彼女の所に持ち込んだんだ。」
「ええ!あなたのおかげでついに私の料理道の一生の相棒を手に入れる事が出来たわ!」
彼女はうっとりした様子で包丁に頬ずりをしている。
使用前にちゃんと殺菌をお願いしたい。
ナクティスが彼女の熱に完全に引いてるので本題に戻る事にした。
「リルリア、とりあえず注文していいかな?」
「あ、ごめんごめん。何食べる?私のおすすめは~」
「グリフォンのハーブ蒸し2セットお願い。」
彼女のおすすめはゲテモノ過ぎるので初来店の彼女には刺激が強すぎると思い言葉を遮って注文した。
俺はまだ少し呆けているナクティスに声を掛ける。
「ごめんね、ナクティス。彼女悪い人じゃないんだけどね。」
「い、いや、問題ない。」
ナクティスは料理を気に入ってくれた様で、食べ終わり店を出るころには満足な顔をしていた。
帰り際、リルリアはわざわざ入口で見送ってくれた。
「ナクティス、また今度一人でも来てよ。他の店員にも話は通しておくから。歓迎するわ。」
「あ、ああ。ありがとう、リルリア。」
「うん!どういたしまして!」
親し気に話しかけるリルリアとまだ遠慮気味のナクティス。
リルリアは最後に俺の方をジロリと見てから彼女に言った。
「こいつ、理屈っぽいし教えたがりでたまにウザいけど面倒見は良いからドンドン頼った方が良いわよ。頼られるの好きなタイプだから。」
「反論をしたいけど美味しい料理のお礼に口を閉じておいてあげるよ。」
「ほらね?ウザいでしょ?」
「あ、ああ。そ、その、あなたさえ良ければまた来させてもらう。」
「ええ、また来てね!」
俺たちはにこやかに笑うリルリアと別れた。
「オオヤ、彼女はいったい…。」
「ほら次はこっちだよ。」
「あっ、オオヤ!」
彼女の手を取って次の目的地に歩いていく。
次はある鍛冶屋だった。
「やあ、バルデン。遊びに来たよ。」
「おお、小僧ォ!来たかァ!」
「ははは、相変わらず元気だね。」
鼓膜が破れるぐらいの怒号を出す男は俺の友人の鍛冶屋のバルデンだ。
俺は鍛治の様子をナクティスと見学する。
「ほら、見て。あれが何か分かる?」
「あれは…ギルデンワームの触角か?」
「うん、あれはナクティスが取ってきた素材だよ。ギルデンワームは電気を貯める性質があるからね、電気属性の武器を作るのに有用なんだ。基礎素材の鉄とかと生体素材を組み合わせて武器を作るのは高度な技だけど流石バルデン。」
「ああ!なんか言ったかァ!?」
「何でもないよ〜。」
「なんてェ!?」
俺たちが見学のお礼を言って去ろうとするとバルデンはわざわざ作業を止めてこちらに来てくれた。
「女ァ、お前が小僧に素材を持ち込んでいる奴だなァ。」
「う、うむ。」
「お前の持ってくる素材はどれも希少で助かってるぜェ。この前もアダマンタイトを扱えていい経験になったァ。これからもよろしくなァ。」
バルデンは強引にナクティスと握手をしてくる。
彼女は戸惑った様子でそれに応えた。
「な、なあオオヤ…これは一体。」
「よぉし、次はあっちに行こうよ」
「あっ、オオヤ!」
俺はその後も彼女を色々なところに連れ回した。
花屋、酒屋、薬師などの所に行った。
そこでは彼女への贈り物も貰い、すっかり彼女の手は埋まってしまった。
そうして人気の少ない通りのベンチに2人で座る。
「はぁ〜、楽しかったなぁ。ナクティスはどうだった?」
「…私も楽しかった。素敵な時間だった。ありがとうオオヤ。…ところで、一つ聞いていいか?」
「いいよ。なに?」
「その、今日会った彼らは何故魔族である私に好意的だったんだ?その、オオヤが何かしたのか?」
「えっ?ははは、何かしたのはナクティスだよ。」
不安気に問いかけてくる彼女の疑問に俺は笑った。
困惑した顔で俺を見つめる彼女。
「どう言うことだ?」
「今日話した通り、彼らは俺が君の持って帰ってきた素材を売った人たちだ。」
「あ、ああ、説明してくれたな。」
「だから君に感謝しているんだよ。彼らはね独立したてだったりツテが無かったりで希少素材を手に入れるのに苦労してるんだ。希少な素材は金があれば手に入るってわけじゃない。例えば自由の盟約もまずはお得意先に声をかけるだろうからね。」
「し、しかし素材を持ち込んだのはオオヤ、貴方だろう。」
「ははは、彼らは俺がただの宿屋の店主って知ってるからね。むしろいびられるよ。凄腕の冒険者に気に入られてズルい!ってね。みんな、君のおかげで欲しかったものが手に入ったって認識してるよ。だから、君に感謝しているのさ。当然お金はしっかり頂いたけどね、それとこれとは別さ。」
彼女はまだ信じられないような顔でこちらを見ている。
本当の所、俺が魔族と仲良くしていると彼らが知った時の反応はあまり良いものではなかった。
まず、真っ先に俺の心配をされた。
しかし、俺が継続して素材を持ち込み、彼女の事について話していくと段々と意識が変わっていった。
「今日のデートはさ、ザナークへの対策の一貫でもあるけど。ナクティスに知ってもらいたかったんだ。」
「…?」
「君の仕事がどれだけ人のためになっているかだよ。君の持ってきた素材は人の幸福を作ったり、社会の発展に寄与する物のために使われてるんだ。」
ザナークは彼女への支払いを不当に安くしていた。
それは彼女の仕事の価値を過小評価されたのと一緒だ。
金は価値の指標だ。
安い金で使われていた彼女は自分の価値を低く見積もっていると俺は思っていた。
それは魔族として差別されている事も大きな要因だ。
彼女は俺をよく持ち上げてくれるが金という指標で考えたら俺の価値など彼女の足元にも及ばない。
ザナークが不当に低く評価した彼女の価値は本当はとんでもなく大きな物なのだ。
「ナクティス、俺はいつも言ってると思うけど。君のおかげで本当に俺は助かってるんだ。そしてそれは俺だけじゃない事を今日は分かって欲しかった。…俺が聖人のように優しくて、だから魔族である君を助けている…と君は勘違いしているかもしれないけど。そうじゃないんだ。ナクティス、俺が今、君に協力しているのは君がその価値がある人間だからだ。」
ナクティスの目が静かに見開く。
「ナクティスが居なくなったら少なくとも今日会った人達は困ると思うよ。」
「…私じゃなくても彼らには誰かが素材を持ってくるだろう。」
彼女は居心地が悪そうに身をよじりながら反論してくる。
「そうかもね、でもそれって重要な所じゃないでしょ。全ての関係が代替可能だから価値が無いなら人間関係や文明社会なんて生まれなかったんじゃないかな。その時、その瞬間の関係の価値を守っていこうとしてきた人たちがいたから社会は形成されてここまで大きくなっていくんだと思う。………俺は急に何を言っているんだろう?」
「ど、どうしたオオヤ。」
俺は自分の価値を頑なに否定しようとする彼女に少しイラついたのか何故か謎の思想を披露してしまった。
別に俺は彼女を論破したいわけじゃない。
ただ俺の気持ちを伝えたいだけだ。
それで彼女がどう考えるかはそれこそ思想の自由だろう。
「うん、ごめんごめん。つまり何が言いたいかというと、俺は自分の幸せを求めて行動しているだけだよ。それには君が必要なだけなんだ。それがナクティスの言う通り本当に代替可能だとしても、わざわざ今目の前にいる君を諦めるなんて、ただの逃げにしか思えないよ。だから、まあ、俺のやっている事なんて本当に独りよがりな物だからさ、遠慮する事なく君はただ自分を誇って俺に協力させてくれたらいいよ。」
「わ、分かった…。オオヤ、あなたの気持ちは十分伝わった。た、ただそのお願いが一つある。」
「ん?」
「そ、その私の問題なのだが、そういった直接的な物言いは、少しその、控えてくれ、ほ、本当に勘違いしてしまう。」
「えっ?俺は本心しか喋ってないからそれは勘違いじゃないと思うよ。」
「か、揶揄っているな!今のは絶対揶揄っているだろう!」
俺たちは、帰り道だというのに今日一番大きな声で騒ぎながら帰っていく事になった。
今日は大きな収穫があった日だったと思う。
人間界にやってきたナクティスは長年の不当な扱いで自分自身も自分の価値を低く見積もっている。
謙遜は必要だというが過剰な謙遜は行動を制限してしまい本人だけでなく周囲にも良い影響は与えない。
これから少しずつでも自尊心を彼女のその大きな功績に伴うぐらい回復してくれたらと思う。
その為には、ザナークには早々に俺たちの人生の舞台から退場してもらう必要がある。
彼は金貨数百枚より価値があるナクティスを消耗させ壊そうとしていた。
その曇りきった目で査定した見当違いの値決めによって。
ナクティスは目立つので今日の事は奴の耳にも入るだろう。
その時彼はどう思うだろう。
お前は追いつめられているのかもしれないがこちらは余裕だぞ。
焦って焦って不安を肥大化させて破滅への道をどんどん進んでしまえ。
奴はただのコミュニティに寄生する害虫だ。
社会の一員としての責任できっちり彼を排除させていただこう。
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「いやあ、それで花を受け取った時の彼女の表情ときたら、それは溜まらなかったよ。服装も相まって本当に清楚なお嬢様って感じでね。」
「………」
「あれ?聞こえてる?最初から話そうか?」
「殺したいわ。」
今日も自室にてリシアと和気あいあいと会話を楽しんでいた。
彼女はうんざりとした顔で俺の話を聞いてくれていた。
「その話もう、4、5回聞いた気がするわ。3週間前のデートの話をいつまで話すのよ。」
「いいじゃないか、どうせ君も暇だろう?」
「誰のせいだと思っているのよ。」
今日はその彼女の言葉に反論するナクティスはいない。
彼女は二日前に家の方に帰宅しに宿を出ていった。
彼女は元々1週間したら家に帰る予定だった。
今回のごたごたがあり帰宅が伸びていたが流石に彼女の家族が心配すると思い留まろうとする彼女を説得して帰らせた。
「おっ……。」
「?、どうしたのよ。」
「いや、お客さんが来た。」
俺は宿に入ってくる人間の存在を感知した。
俺はリシアを自室に残してカウンターに行った。
そこには一人の男がいた。
服装からして冒険者だ。
「やあ、いらっしゃい泊っていくかい?」
「ああ、値段は?」
「今は新規開店キャンペーン中でなんと銅貨3枚さ。しかも朝食付きだよ。」
「そうか………。なあ、ここは部屋何部屋あるんだ?」
「えーっと合計で8部屋あるよ。それがどうかしたのかい?」
「そうか、なあ、俺の仲間も宿が無くて困っているんだ。もしかしたら8部屋全部使うかもしんねぇが問題ねぇか?」
「うん、いいよ。今は誰も泊ってないからね。」
「ああ………、あんがとよ。仲間に伝えてみるよ。」
俺は彼に鍵を渡し部屋に入っていく彼を眺める。
そして、その後、結果的に部屋は彼含めて5部屋埋まった。
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時刻はもう陽が落ちてから数時間たった頃。
俺は自室でリシアの横で本を読んでいた。
外は雨がざーざー降っていて雷の音が遠くから聞こえる。
「ねえ…」
「んー?」
「あなた殺されるわよ。」
先ほどまで黙っていたリシアは急に物騒な事を言いだした。
「急に、人の不安を煽る占い師みたいな事言わないでよ。」
「…あなたも馬鹿じゃないんだから分かっているでしょ。今日泊ったあいつら間違いなくザナークの差し金よ。」
「はは、俺は大事なお客さんを疑ったりしないよ。」
「こんな僻地のボロ宿にまともな客が来るわけないでしょ。」
俺のごまかしに鋭い言葉を突き立ててくるリシア。
流石暗殺者。言葉のナイフもよく磨かれている。
「まあ、もしそうでも大丈夫だよ。返り討ちにするから。リシアみたいに」
「殺すわよ。………ねえ、おそらくあいつら雑魚ではないわ。少なくとも私レベルはある。………逃げないのかしら。」
「外は雨降ってるしなぁ。それにお客さんである君を置いてく訳にはいかないしね。大丈夫大丈夫、リシア5人程度なら楽勝だよ。」
「…あなたそんなに強くないでしょ。私と戦った時だって一歩間違えれば私にそのまま殺されていたわ。」
「あれ?もしかして負け惜しみかい?」
「ねえ、本当に大丈夫なの?」
俺は適当に返答していたが彼女の声が少し震えている事に気づいて顔をそちらに向ける。
彼女は一見冷静を装っていたが顔が青くなっており瞳孔が開いていた。
過度な緊張状態になっているみたいだ。
成程、彼女は俺が殺された後の事を考えて怯えているのか。
動けない自分はそいつらに乱暴されてしまうんじゃないかと。
「うん、大丈夫だよ。これは本当に負け惜しみじゃないけど。本当は君の事ももっと簡単に倒せたんだ。」
「…信じられないわね。」
「まあまあ、安心してなよ。………おっ。」
俺はリシアから隠す様に開いた本の中に出現させていたフロアマップに動きがあった事を確認する。
行動開始か。
さて、一仕事しにいくか。
俺は席を立つ。
「どこに行くの?」
リシアは去ろうとする俺に不安げに声を掛けてくる。
それに俺は朗らかに返答する。
「はは、仕事だよ。俺は宿屋の主人だからね。お客さんには素敵な時間を過ごして貰って、そして………夜には気持ちよくベッドで寝てもらう。その手助けをしてくるよ。」
「ま、待ちなさい。私も手伝うわ。片腕しかないけどサポートぐらいなら」
「えっ?いやあ、いらないよ。お客さんなんだからゆっくりしててよ。大丈夫、不安で眠れないんだったら多めに見積もって10分だけ待っててよ。」
俺はあの日彼女が俺を殺す為に使用していたダガーを持ちながらフロントにつながる扉の取っ手に手を掛ける。
「子守歌を歌いに戻ってくるから。いい子にして待っててね。」
そうして俺はお客さんを接待しに仕事場へと向かうのだった。
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