第5話 ダンジョン
冒険者登録をした翌朝。
制服に着替えて学校に行く準備も終わり、自室でスマホをいじる。
「今日の放課後はダンジョンに行こう」
あの鮫島さんの感じを見ると、というか普通に調べて分かることだが、初心者は星5ダンジョンに入れるわけがない。
ということで、ステータスにも書いてあるとおり、初心者という扱いの私は、取り敢えず星1ダンジョンに入ってみようと思う。
「確か冒険者専用サイトが……あった」
スマホの検索エンジンで冒険者専用サイトと調べると一番上に出てくるサイトを開き、冒険者IDを入力する。そうすれば、専用の画面に切り替わる。
「ん? なんだろ?」
そのままサイト内で検索を続けようとすると、妙に能力画面を開かないといけない気分になる。
絶対に今すぐダンジョンを調べないといけないという訳ではないので、その気分に従って能力画面を開く。
すると、改造の欄に赤い光が灯っていた。
「え、もしかして」
改造の欄を押すと、相変わらずあの3つの項目が映し出される。
・ステータス
・ダンジョン
・能力画面 !
ただ、前回と違って能力画面の横にビックリマークが付いている。
ドキドキしながら能力画面を押すと、スムーズに開いて一つの項目が表示された。
・冒険者サイトの追加 (無料!)
まさかの項目だ。
冒険者専用サイトを見ていたら、妙な胸騒ぎがしだした。そして、能力が面を開いてみれば冒険者サイト追加の文字が表示されている。
私の現実に起こった出来事に合わせられているとしか思えない。
「なんだか監視されてる気分ね」
少し不快な気持ちもあるが、取り敢えず無料で追加できるらしいので押してみる。
すると、画面が光って最初の画面に戻った。そして、画面上には新たに『冒険者サイト』という文字が追加されていた。
これで能力画面を開いた時に表示されている項目が『ステータス』『ニュース』『ダンジョン』『改造』『冒険者サイト』となった。
能力画面に映っている冒険者サイトは、スマホで見ていたサイトと全く一緒だった。つまりいつでもどこでも視線で開けるようになっただけで、特別な機能はないということだ。まぁそれだけでも十分に便利よね。
その流れのままダンジョンを検索する。
「星1ダンジョンってこんなに多いのね」
ざっと目を通しただけで、東京都内に現在13ヶ所ある。そのうちの一つを放課後の時間に合わせて侵入許可をもらう。
現在は誰も侵入許可を出していないみたい。そこまで見れるのは便利ね。
放課後の楽しみを作った所で高校に向かう。そろそろ登校しないと遅刻だ。
「お母さん行ってきます」
「行ってらっしゃい。気をつけるのよ」
「はーい」
お母さんに声をかけて家を出る。今から放課後が楽しみで仕方ない。
放課後。
「ようやくね」
時刻は16:30。少し遅くなってしまった。
それもこれも全て帰る前に梓に捕まってしまったのが悪い。ついつい「話そ〜」と言われて話してしまった。あの子は断ったら泣きそうになるものだから甘やかしてしまう。
甘やかし過ぎるのもダメよね。
そんな事を思いながらダンジョンに侵入する。
今回私が入るダンジョンは、高校から電車を使って30分程度の所にある星1のダンジョン。自宅と高校とダンジョンを点で結べば、丁度3角形になると思う。
「なんだか普通の洞窟ね」
星1ダンジョンは少しじめじめしていて暗い無機質な岩の壁と床で出来ていた。前世でそこら辺に沢山あった洞窟の雰囲気そのままだった。
ダンジョンに入って周りを観察して、少し進みだすと、能力画面を開いた方が良い予感がする。もうこの感覚にも慣れてきた。
その予感に従って能力画面を開く。
◆ステータス !
◆ニュース
◆ダンジョン
◆改造
◆冒険者サイト
案の定ステータスの項目にビックリマークがついている。
ステータスの欄を押す。
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【名前】 一条 雫
【年齢】 16
【称号】 神格者(封・隠)、女神の寵愛、転生者(隠)
【冒険者ランク】 F
【保有能力】 精神強化Lv3、身体強化(無)Lv3、身体強化(闇)Lv1、思考加速Lv3、演算領域拡張Lv2
【適性属性】 無、火、風、光、闇
【次回解放条件】 星1ダンジョンに入る[完]
選択①:身体強化(風)
選択②:精神汚染耐性
選択③:闇魔法
選択④:魔力増強
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ステータスは【次回解放条件】の部分が変化しており、文の後ろに[完]の文字と、下に選択肢が4つ提示されている。これを報酬として開放して貰えるという事だろう。
「このまま身体強化だけを伸ばしても良いけど、やっぱり現代日本人の記憶もあると魔法を使いたくなるわよね」
魔法には慣れている前世の感覚と、どうしても未知の魔法に憧れてしまう今世の感覚で変な環状になるが、まぁ好きにやりたいことをやれば良いやと思って選択③の闇魔法を押す。
するとステータスが変化した。
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【名前】 一条 雫
【年齢】 16
【称号】 神格者(封・隠)、女神の寵愛、転生者(隠)
【冒険者ランク】 F
【保有能力】 精神強化Lv3、身体強化(無)Lv3、身体強化(闇)Lv1、思考加速Lv3、演算領域拡張Lv2 、闇魔法Lv1
【適性属性】 無、火、風、光、闇
【次回解放条件】 星1ダンジョンに入る[完]
選択①:身体強化(風)
選択②:精神汚染耐性
選択④:魔力増強
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「選択肢が消えない?」
無事に闇魔法が保有能力に増えてくれたのは嬉しいけれど、何故か選択肢がそのまま表示されている。次回解放条件の部分も[完]のまま次の条件が提示されない。ということは?
もしかしてと思い選択④を押す。手に入る。そしてまだ選択肢が消えない。選択②を押してみる。手に入る。ここでようやく選択肢が消える。
「選択肢を提示されて、手に入らないのが1つなんて思わないでしょう普通」
虚空に向かってツッコミを入れ、改めてステータスを見る。
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【名前】 一条 雫
【年齢】 16
【称号】 神格者(封・隠)、女神の寵愛、転生者(隠)
【冒険者ランク】 F
【保有能力】 精神強化Lv3、身体強化(無)Lv3、身体強化(闇)Lv1、思考加速Lv3、演算領域拡張Lv2 、闇魔法Lv1、魔力増強Lv1、精神汚染耐性Lv1
【適性属性】 無、火、風、光、闇
【次回解放条件】 星1ダンジョンの魔物を倒す 3/3
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無事に新しい3つの能力が保有能力に追加され、次回開放条件も変わる。またすぐに新しい能力を手に入れることができそうだ。
「進みましょうか」
魔法を手に入れた私は、前世の感覚を頼りに手のひらに魔力を集めたり、空中に魔法陣を浮かせる準備をしたりする。
グッパーグッパー。うん、どれも普通に出来そうだ。
懐かしい感覚に高揚する気持ちを感じながら、洞窟を気楽に進む。
ダンジョンは高難易度になると明かりが設置されてたりするから楽だけど、低級のダンジョンは何も整備されていないことが多い。天然そのままを活用しましたって感じ。
つまり、
「暗いわね」
灯り持ってくれば良かったかな。こんな暗さだと魔物の接近に気づかない初心者も多そうだ。
そんな事を考えていれば、背後で何かが動く気配がする。横道から出てきたみたい。
「私は初心者じゃないのよ?」
そう言いながら後ろを振り向いて拳を振り抜く。
拳に当たるぷるんとした感触。ひんやりとしてたような気もする。その拳にあたった何かはパンッと弾けた。
魔物だった残骸は、5分ほどしてダンジョンに吸収されて消えた。
「吸収は5分。吸収前に回収すればその素材は手に入る。情報通りね」
その証拠に手には先程の魔物の核が残っている。それに対して、放置していた身体を構成していたゼリーのような物質は吸収されている。
――スライムの魔核。100円。
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