第56話
「里美!」
警察署を出て自宅に戻った里美は、家の前で声をかけられた。
久しぶりに聞く友の声。
「由香! どうしたの?」
携帯彼女の出現、浅沼の失踪で忙しく動いていたため、里美はしばらく由香と連絡を取っていなかった。
「最近全然会ってなかったし、里美どうしてるかなって思って」
里美は家に上がるようすすめたが、由香は曖昧に言葉を濁す。
里美の母親、悦子に対し、どのような態度を取っていいのかわからないからなのだろう。
あい・すくりーむを作ったのが悦子だとわかってから、由香はまだ一度も悦子とは顔を合わせていない。
里美は由香を近くのファストフードの店へと連れ出した。
「あの時から、ぜんぜん連絡くれなくなったから心配してたの」
由香は本当に心配してくれていたのだろう。
不安げな表情からそれは容易に察することができた。
「ごめんね。ちょっと色々忙しくて」
里美はハンバーガーを手に取り、豪快にかじりつく。
由香に全てを見抜かれてしまいそうで怖かった。
「気になってたんだけど……。あの時の歩道橋の事故。あれ、何か関係あるのかな?」
「何かって?」
「携帯。また携帯が関わるようなことが起きてるのかもしれないって。だから里美は色々調べて……」
「ちょ! 待ってよ。そんな訳ないじゃん」
里美は慌てて由香の言葉を遮った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます