第4章 疑念
第56話
結局、絵里の死も自殺として処理された。
里美が負った喉の火傷もすっかり回復していた。
ただ、心に受けたショックからは立ち直ることはできなかった。
仕事はしばらくの間、休みをもらっていた。
絵里がいなくなってしまった今、休みを取れば迷惑がかかることは承知していた。
でも、どうしても店に足が向かない。
店に行けばあの日のことを、絵里が死んだ日のことを思い出してしまいそうでつらかった。
それに、ロッカールームには怖くて近づくことはできない。
里美は自室に篭り、携帯電話を見つめている。
今、里美の電話に携帯彼氏はいない。
「このまま終らせる訳にはいかない」
リクは立ち上る炎の中から出てきてこう言った。
『真実が知りたい?』
このセリフを聞くのは2度目だ。
1回目は、真由美が飛び降り自殺を図った後、携帯電話の待ち受け画面に残されていた。
そして2回目は絵里が死んだ時……。
――知りたいに決まってる。
リクの挑発を2度も受けることになるとは……。
それにしても、リクはどうなってしまったのか。
絵里の携帯電話に、リクの姿はなかった。
『逝こう、一緒に』
確かリクはこんなことを言っていた。
『絵里でもいい』
とも……。
これらの意味するものは一体何なのか。
里美は意を決して、あい・すくりーむにアクセスした。
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