第36話
商品は赤色のものが目立つ。
――今年のカラーは赤か……。
里美はコーディネートが難しそうだとため息を漏らした。
流行カラーは人気モデルの○○さんが着ていたから流行るという訳ではなく、既に決まっているものなのだ。
今年は赤。
カリスマモデルも、女優も、あらかじめ決められている流行カラーを着せられている人形に過ぎない。
そしてショップ店員も同様に、流行を追ったファッションが求められる。
「長い間休んでごめんね」
里美は店内をざっと見て回ったあと相川絵里に声をかけた。
「全然、お店は平気だったよ。ヘルプも来てくれてたから。それより友達のこと、大変だったね」
絵里とは1つしか歳が違わないのだが、時々10代と20代のギャップを感じることがある。
絵里を見ていると、自分がものすごい年寄りに思えることがあり、里美は19歳の絵里に多少の嫉妬を感じていた。
「うん。でも、もう大丈夫だから。休んでた分バリバリ働かなくちゃ」
里美は指先で毛先をくるくると巻いた。
久しぶりに髪の毛を巻いたので、上手くセットすることができなかった。
感がすぐに鈍ってしまうのも、20代の衰えかもしれないなと里美は苦笑いした。
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