第24話
焼香を終えた里美と由香は、斎場の外で真由美の妹を待っていた。
真由美の使っていた携帯電話を受け取るためだ。
真由美の家族には、一緒に取った写真がいっぱいあるので、データーを移したいとだけ伝えた。
まだ何もわかってないない今、混乱を招くような発言はするべきではない。
宵の空は、厚い雨雲に覆われていた。
しとしとと細かい雨が里美と由香に降り注ぐ。
生ぬるく湿った風が頬を撫で回す。
不意に背後から背中を突付かれ、里美は軽く飛び上がってしまった。
「これ、お姉ちゃんの携帯」
制服姿の妹が不憫に思えてならなかった。
まだ高校生だというのに、どれほどのショックと悲しみを背負うことになったのか。
妹の真っ赤に腫れた目を見つめていると、また涙が溢れ出してきた。
「ありがとう」
そう言って妹から携帯電話を受け取った。
何か言ってあげようと思いながらも、慰めの言葉が見つからなかった。
「終わったら、返しに行くね」
里美は無言のまま、真由美の妹をぎゅっと抱きしめた。
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