第23話

焼香の順番が回ってきた。


由香と揃って席を立つ。


真由美の両親と妹に向かって頭を下げた。


家族の憔悴しきった表情が里美の胸を抉った。


家族は真由美の亡骸を直視できたのだろうか。


当然のように朝を迎えようとしていた矢先に、真由美の死を突きつけられたのだ。


時が止まり、未来を奪われたのは真由美ばかりではなく、家族も同然だろう。


幸せを、未来を、真由美の命を奪ったもの。


その得体の知れない何かを必ず突き止める。


真由美の遺影に向って強く誓った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る