第16話
由香の動揺する気持ちはわかる。
ただ、親友の死を目前に、そのまま立ち去ってしまったことに対して、素直に受け入れることはできなかった。
「もし、あの時私がすぐに救急車を呼んでいたら、真由美は助かったかもしれないのに……」
自らを責めるように、由香は自分の太ももを何度も何度も殴りつけた。
里美は止めなかった。
たとえすぐに救急車を呼んでいたとしても、10階の高さから飛び降りたのだから、助かることはなかっただろう。
それでも、親友として取るべき行動を取ってほしかった。
由香は逃げ出してしまったことを相当後悔しているようで、殴りつける手を休めることはなかった。
由香の行動に腹を立てていた里美だったが、いつまでも自分を責め続ける由香を見ていると、だんだん辛くなってきた。
由香だって十分反省している。
恐怖心がそうさせただけで、決して真由美を見捨てた訳ではない。
再びここへ戻って来たのが証拠ではないのか。
「もういいよ。もうわかったから」
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