第15話
「それからどうしたの? つらいと思うけど、全部話して」
里美は辺りを見渡した。
由香の愛車である白の軽自動車はどこにも見当たらない。
ここへは車で来たはずじゃなかったのか。
「怖くて、車の中から出られなかった。
救急車とか警察とかに電話しなくちゃって思って携帯を手にしたんだけど、頭が真っ白になって番号がわからなくなった。
たった3ケタの数字が……、全然思い出せなくて」
由香は体の振るえを押さえるため、腕を組むように強く両腕を抱いた。
「しばらくマンションの前に停まってた。
怖くて車から降りることが出来なくて。
何分くらい停まっていたかは覚えてないけど、裏の通りに新聞配達員が見えて、慌てて車を発進させたの」
「どうして逃げるようなまねしたの?」
「疑われるって思ったの。気がついたらアクセルを目一杯踏み込んで、家に引き返してた」
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