第6話
最初に目に入ったのは、壁に反射する赤色灯。
近づくにつれ、ざわざわとした話し声が聞こえてくる。
マラソンのゴール地点のように、真横にピンと張られた黄色いテープ。
パトカーが2台並んで停まっていた。
こんな手の込んだ冗談など、あるはずもない。
里美は自転車を放り出し、黄色いテープの内側に立つ警官めがけて歩を進めた。
物音を聞きつけてか、早朝にも関わらず既に人だかりが出来ている。
里美は野次馬を腕で押しのけ、警官へと詰め寄った。
「長内真由美の妹から連絡をもらってここへ来ました。彼女に会わせてください。話を聞きたいんです」
黄色いテープを無理やり潜り抜けようと身を屈めたとき、マンションの入口付近に赤黒い染みが出来ているのが目に入った。
里美の動きは止まった。
地面に広がる赤いもの。
それはまるで水風船を叩き付けた時のように、広範囲にわたり染みが飛び散っている。
里美はマンションの屋上へと目線をやった。
うっすら明け始めた空が、数人の人影を映し出す。
捜査員と思わしき人物が、屋上の縁を調べているようだった。
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