第3話

急げば急ぐほど足がもつれ、何度もぺダルから足が外れた。


本当にいつもの道順なのか疑わしいほど、真由美の家は一向に見えてこない。


頭の中で、真由美の妹からの電話が幾度となくリフレインする。




「お姉ちゃんが死んじゃった」




「ネコ踏んじゃった」を思い出させるようなくだけた言い方と、涙声があまりにも不釣合いだった。


それがかえって切迫した状況であることを物語っているようで、里美は冷や水を浴びせられたような気分だった。


ドラマで目にする似たようなシーンの場合

「お姉ちゃんが……」

とだけ言い放ち、その後むせび泣くのが定番だろう。


でも現実世界は違っていた。

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