第1章 不審な死

第2話

長内真由美が死んだ。


早朝、ヒステリックに鳴り響いた携帯電話の着信は、その凶報を知らせるものだった。


上野里美は寝癖がついたセミロングの髪を1つに束ね、顔も洗わないまま取るものも取り敢えずに家を飛び出した。


暦の上ではもう春だというのに、外はまだ薄暗く寒い。


冷たい空気が容赦なく気管に入り込み、さらに里美の鼓動を急き立てた。


真由美の家までは自転車で5分程度の距離だ。


里美は乱暴に自転車のカギをこじ開け、勢いよくペダルを踏みこんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る