愛
KiiyPilO
あなたと過ごした半年とちょっと
住み慣れたあの町を出た。
暮らすには少々過激なほど、ピカピカでうるさい街に越した。
心から愛するあなたと共に。
あなたと一緒なら辛いことなんてないと思ってた。僕が全部何とかできると思ってた。
大変な家事も、2人でやるとゲームをしてるみたいで楽しかった。
あなたのために作る料理がいちばん楽しくて、あなたから貰える「ありがとう」が一番の宝物だった。
毎日同じ時間に起きて。
同じご飯を食べて。
同じ時間に家を出て。
同じ学校へ通う。
帰る時間は違ったけど、家に帰ると僕よりも早く学校の終わるあなたが待ってくれている。
そんなあなたは優しくて、地球上の誰よりも僕のことを大切にしてくれる人。
そう確信した。
そんなあなたでも、積もるものは積もるし、崩れる所から崩れていく。
日を追う事にあなたの中に「ない」がどんどん増えていった。
朝起きられない。
ご飯が食べられない。
お風呂に入れない。
外に出られない。
学校に行けない。
立てない。
いっぱいいっぱい「ない」が積み重なったあなたは本当に苦しそうで。僕にはそばにいて、励ますことしかできなかった。
「ない」がいっぱい積み重なったあなたの身体からは直に、いっぱいの「たい」が溢れ出るようになった。
そんな「たい」を押さえつけるのに必死で。
今は見えない微かな光を信じてもらうために必死で。
僕が今まで蓄えた言葉の集大成をぶつけるつもりで向き合った。
苦しんで、脳みそのしわが絡みつくほど悩んで、5歳の子供のように涙をながして、精一杯で向き合った。
どれだけあなたの「ない」が増えても、
どれだけあなたが「たい」と思っても、
僕に「愛してる」と笑顔を向けてくれるあなたの事を信じて。
僕の思いは今までも、これからも、あの日自転車で一緒に帰った日から変わらない。
たまに忘れそうになってあなたの事を不安にさせるけど、忘れた回数と同じ回数、思い出す。
あの日の笑顔。あの日の大好き。あの日の愛。あの日の「たい」も「ない」も全部。
あなたと歩み、戦い、感動を共にしてきた日々を思い出す。
これからも一緒に真っ暗闇を歩いていこう。
足を引っ張り合いながらでもいいから。僕があなたを背負いながらでもいいから。
お互いがお互いの存在を認識していれば。
大丈夫。
二人の愛が背中を押してくれるはず。
あなたに宛てたラブレター
愛 KiiyPilO @kYpr
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