不死龍の罪篇
第17話:色欲の屋敷①
王都アレグリアには数多くのギルドが個性豊かなホームを構えているが、その中でもデモンズユナイテッドのホームは構造が他派閥よりも特殊だ。
王都の城下町に位置する広大な土地にメインとなる大きな館が存在し、その奥には館に比べると小さいが、それでも大きい屋敷が9軒も存在する。
9つの屋敷は全てデモンズユナイテッドの団員が暮らす宿舎だ。
ギルドマスターであるダビデ様を除いて72人全員が宿舎で暮らし、各屋敷8人で生活することになる。
この度新人としてデモンズユナイテッドに入団した僕も例外ではなく、今日から先輩方のお世話になるのだが。
「な ん で マナさんが管理してるとこなんですか?」
「空きが私のところだったからね、仕方ないさ」
「別のところに移動させてください」
「ならすぐに上位9名に名を連ねることだね、できないだろうがね」
各棟を管理するのはデモンズユナイテッドの中で上位9名の実力者、そこにすぐに滑り込むなんて不可能な話だ。
そして僕が暮らすことになる屋敷の管理人は奇しくもマナさんだった。
大きめの重い鞄を片手に、もう片方の手はマナさんに引っ張られながら館の裏口を抜けて屋敷に進む。
マナさんの扱う真紅のフランベルジュが黒く染まった翼の生えたハートに突き刺さっているエンブレムが外壁に大きく塗装された屋敷が僕がこれから住む屋敷だ。
その名も“
奇しくもこれから僕が暮らす家なんだ、それに共に暮らすのはギルドの先輩のみ、くれぐれも失礼のないよう気を引き締めなければならない。
「まあ安心するといい、“色欲の屋敷”は1番善人が揃っているとよく言われるからね」
「それはよかったです、屋敷でまで振り回されたら困りますからね」
これから仕事でこの美人に振り回されることが確定しているのだ、せめて住む場所でぐらいは落ち着いて過ごしたいものだ。
できれば穏やかに休日を先輩たちと過ごしたい、それが叶うと言うならこの人に振り回されるのも我慢できると言うものだ。
屋敷の大きな玄関にマナさんが手をかける、先輩たちとのご対面だ、まずは第一印象を良いものにするべく姿勢を正す。
ギィと音を立てて扉がゆっくりと開いていく。
「ああそうそう、私の屋敷に暮らすのはみな善人だが………」
イタズラな笑みを浮かべるマナさん、開け放たれる扉、突然背筋を走る気味の悪い悪寒。
開いた玄関から飛び出して来たのは何とも手荒な歓迎だった。
「全員が破天荒とよく言われるね」
「のわァァァッ!?」
それを早く言ってくれよ___
心の中でそう呟きながら、勢いよく僕を出迎えてくれた、否、吹き飛ばされてきた人の緩衝材代わりになる。
男性が僕の上にのしかかり、地面に後頭部をぶつけたところで意識を手放した。
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