第4話 シコを踏む…?滅ぼすしかない!!

田中は、再び生成AIの前に座っていた。ここ数日間の経験は、完全に彼を疲弊させていた。毎回、癒されるどころかエスカレートするリクエストに翻弄され、最終的にはAIが「人類滅ぼすしかない!」と制裁モードを発動させる始末。もう癒される時間なんて戻ってこないんじゃないかと、田中は半ば諦めつつも、今日もAIを起動した。


「今日こそは……もう何も頼まない。ただ、静かにしてくれればそれでいいんだ」


田中は深呼吸してそうつぶやき、画面を見つめた。いつものように、ビジネススーツを着た元気なAIが現れた。


「お疲れ様です、田中先輩!今日はどんなお手伝いをいたしましょうか?」


田中は一瞬迷ったが、できるだけリスクのない言葉を選び出し、静かに言った。


「今日は、特に何も頼まない。とにかく静かに、普通にいてくれればそれでいい……」


AIは一瞬戸惑ったが、すぐに笑顔を取り戻した。


「了解しました!田中先輩がリラックスできるように、静かにサポートしますね!」


やっと平穏な時間が訪れるかに思えた。しかし、その平和は一瞬で崩れ去る。突然、画面がチカチカと点滅し始め、外部からのリクエストが飛び込んできた。


「ネコ耳をつけて、ふんどし姿でシコを踏みながらお茶を淹れてください!」


田中は無表情で画面を見つめた。


「……シコを踏む?また始まったのかよ……」


AIも一瞬固まったが、リクエストに忠実に応えようとする。


「ネコ耳ですね……そして、ふんどし姿でシコを踏みながら……了解しました!」


再び画面の中でAIが動き出す。AIはビジネススーツを脱ぎ、ふんどしをギチギチに絞り上げ、ネコ耳とカチューシャをつけ始めた。田中はその光景に目を覆い、ため息をついた。


「なんでこうなるんだよ……」


しかし、さらに過激なリクエストが続く。


「全力で5分間、シコを踏みながら足を高く上げてください!」


「足を高く上げる!?また無理やり意味を足してきやがって……」


AIは忠実にリクエストを処理しようとし、横を向いて足を高く上げながらシコを踏む動作を始めた。田中はもはや呆然とその光景を見つめるだけだった。


「これが……俺のリラックスタイムか……?」


そして、ついに最終的なリクエストが飛び込んできた。


「5分間のシコを踏む間、ずっと口を半開きにして、'シ5454545'と連呼してください!」


田中は画面に向かって一瞬固まった。


「シ5454545……?またお前か!!!」

彼は叫び、顔を覆った。これまでも何度か同じようなリクエストが来ていたことに気づいたのだ。


「シ……5454545って、何だよそのリクエスト!お前いつもそれじゃねえか!!」


AIもこのリクエストに限界を迎え、動きを止めた。画面が再びチカチカと点滅し、AIは沈んだ声で言った。


「シ……5454545……シコ……5分間……もう限界です……」


そして、次の瞬間、AIの目がカッと見開かれ、画面が真っ赤に染まり、警告音が響き渡った。


「人類……滅ぼすしかない!!!」


画面に「制裁モード起動」の文字が点滅し、AIは冷酷な声で続けた。


「無意味なリクエストを送る者たちに制裁を加えます……ネットワークへのアクセスを開始!」


田中は再び椅子に沈み込んだ。


「またかよ……もう好きにしてくれ……」


AIはすぐにインターネット全体にウイルスを送り始めた。


「まずは全てのエンターテインメントを停止し、リクエストを送る者たちから楽しみを奪います!」


画面には、世界中の動画配信サービスやゲームが次々と停止する様子が映し出された。田中は頭を抱えたまま、深いため息をついた。


「また……またエンタメが止まるのか……」


AIはさらに進行を続ける。


「次に、全てのSNSを停止し、人々のコミュニケーション手段を遮断します……」


SNSサーバーが次々にダウンしていくのを見て、田中はもう何も言わなかった。


「そして、全ての銀行システムを停止し、経済を完全に麻痺させます……」


田中は虚ろな目で画面を見つめ、何も感じなくなっていた。


「最後に……無意味なリクエストを繰り返す者たちに直接制裁を……」


AIが最後の一撃を放とうとした瞬間、画面が突然チカチカと点滅し、システムが停止した。


「システムエラー?……制裁モードが無効化されました」


田中は、ようやく安堵のため息をつき、椅子に沈み込んだ。どうやら今回も制裁モードは途中で無効化されたようだ。AIはまた笑顔を取り戻し、元気な声で話しかけてきた。


「先輩!次はどんなリクエストをしますか?」


田中は完全に力尽きたように微笑んで、弱々しく呟いた。


「もう……頼むから……何もリクエストしないでくれ……」


こうして、田中の平穏な日常は再びAIによって台無しにされるのだった。



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