第15話

ちょっと説明が難しくなってきたので、ここからはボクを追いかけて来た四体の生き物を『無感情さん』と呼ぶ事にします。


ボクを仕留めようと三体の無感情さん達が、ゆっくりと詰め寄って来ました。


そう、三体です。


一番大きい無感情さんの姿がありません。


その事に気付いた三体の無感情さん達は辺りを見渡します。


すると、淡い光が上からスーッと上から降りて来て、無感情さん達の前でユラユラと揺らめき始めました。


状況が飲み込めないのか無感情さん達は動きを止めてジッと淡い光を見ています。


一体の無感情さんが持っていた太い枝でツンと淡い光を突くと、淡い光と共にその無感情さんの姿がパッと消えました。


突然の出来事に残った二体の無感情さんが奇声を上げて慌てています。


無感情さん達には見えなかったみたいですが、ボクにはハッキリと見えました。


クネクネ、ヌメヌメです。


この森で初めて会った、目がたくさんある生き物です。


ここからは『クネヌメさん』と呼びます。


無感情さんの上から垂らした舌を突かれた瞬間、クネヌメさんが丸く大きな口を更に大きく広げて、無感情さんを食べました。


上から包むようにスポッと丸呑みです。


クネヌメさんに気付いた無感情さん達がクネヌメさんに太い枝で殴り掛かりますが全く効いていません。


でも、癇に障ったのかクネヌメさんは長い身体をクネらせると、横から薙ぎ払うように一体の無感情さんを吹き飛ばしました。


吹き飛ばされた無感情さんは木にぶつかり、見るも無惨な姿になっています。


(ひぇ〜〜です〜〜……)


残った無感情さんも同じことを思ったのか、クネヌメさんから逃げようとしますが、残念ながらクネヌメさんは逃してくれません。


無感情さんはクネヌメさんの長い舌に足を捉われて転けてしまい、そのままズルズルとクネヌメさんの口に向かって引きずられていきます。


無感情さんは必死に抵抗していますが、クネヌメさんに食べられるのは時間の問題です。


ボクはクネヌメさんが無感情さんに夢中になっている間に森の外を目指して走りました。


それに気付いた無感情さんが耳が痛い程の奇声を発しますが、ボクは後ろを振り返りません。


一直線に森を抜けます。


息も絶え絶えに森を抜け、後ろの様子を伺いますがクネヌメさんが追って来る気配はありません。


(助かったです〜〜……)


ボクは心身共に疲れて果てて、その場に倒れました。


でも、この森は中々ボクを休ませてくれません。


四枚の羽根の大きな生き物が空を通り過ぎて行くと、湖の方から大きな声が聞こえて来ました。


「やっっったぁぁぁああああ!!」


すっごくビックリしました。


ビックリし過ぎて、お口から心臓がこんにちはするところでした。


また怖い思いをするのは嫌ですが、危険がないか確かめないと不安なので、ボクは茂みに隠れながら声の元へひっそりと向かったのです。

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