第14話

(何です? 何でついて来るです〜?)


ボクは逃げながら、後ろの様子を伺います。


何だか目つきが変わっていました。


真っ黒です。


点みたいだった黒目が広がって真っ黒でした。


その真っ黒な目を見開いてボクを追いかけて来ます。


(気持ち悪いです〜〜!)


相変わらず、目からは感情が読み取れませんでしたが、何を考えているかは分かりました。


ボクを食べるつもりです。


その証拠に一番大きなヤツが唸るように鳴くと、他の三体がボクを囲むように広がり始めました。


明らかに指示を出しています。


また一番大きなヤツが鳴いて指示を出すと今度は石を拾い、ボクに向けて投げてきました。


(危ない! 危ないです〜!!)


森の中は暗いのにしっかり狙いが定まっていました。


暗がりでも問題なく見えるみたいです。


幸い避ける事ができましたが、ボクへの攻撃は止まりません。


次々石が飛んできます。


(怖いです〜〜!!)


ボクは一生懸命逃げました。


逃げましたが、右に逃げても、左に逃げても、逃げる先を塞ぐように追いかけて来るので、中々逃げ切れません。


この方法での狩りに慣れている感じです。


行動に迷いがありません。


でも、狩られるのは嫌なので、どうすれば逃げ切れるか頑張って考えます。


(どうすれば良いです? 足はボクの方が速いですが、追い詰めるのが上手です。このままじゃその内、捕まっちゃうです)


ああでもない、こうでもないと考えましたが良い案は中々出てきません。


その時です。


(……ん? 何です?)


微かに香る、嗅ぎ覚えのある匂いに気が付きました。


お鼻をスンスンさせながら、記憶を探ります。


そして、真新しい記憶から答えが出てきました。


嫌な記憶です。


でも、このまま逃げても逃げ切れません。


なので、ボクは匂いがする方向へ逃げました。


どんどん匂いは強くなりますが、気付いている様子はありません。


どうやら、鼻は効かないみたいです。


(これなら上手く行くかもしれないです)


ボクは匂いの元に急ぎます。


(……! いたです)


嫌な匂いがプンプンしますが、やっぱり気付いている様子はありません。


ボクは匂いの主を通り過ぎ、位置を確認して逃げる足を止めます。


すると、ボクは直ぐに囲まれてしまいました。


(上手くいってくださいです〜)


ボクはジッと身を屈めて作戦が上手くいくのを祈ったのです。

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