第12話
気がつくと綺麗な湖にいました。
(助かったです〜……)
助かりはしたものの、口から水がたくさん出るし、毛も服も濡れて気持ち悪いです。
気持ち悪いので服は絞ってから干して、毛は身を振るわせて水気を飛ばしてから日に当てて乾かしました。
(不思議な所です)
服が乾くのを待つ間に周りの確認をします。
湖を囲むように森が広がっていました。
ボクが住む森でも、知らないモノを見付ける事はしばしばありましたが、右を見ても左を見ても知らないモノばっかりなのは初めてです。
(……もしかして違う森まで流されて来たです?)
ここが何処だか分かりませんが、取る行動は変わりません。
道に迷った時は高い所から知ってるモノを探すのが一番です。
服が乾いたら森に入って高い木を探します。
でも、お腹が空いているので食べ物も一緒に探して……食べ物の事を考えたら、もっとお腹が空いたので、服が乾くのを待つ間に赤い果実を食べます。
しっかり掴んで離さなかったので、失くさずに済みました。
先ずは匂いを嗅ぎます。
ほのかに甘い香りで、嫌な感じもしません。
(食べても大丈夫そうです)
確認を済ませたら、一口食べます。
美味しくないヤツだったら嫌なので、知らないモノを食べる時は小さく一口です。
いきなり、かぶり付いたりはしません。
でも、二口目はかぶり付きました。
(美味しいです〜〜)
口の中がいっぱいで声にはできませんでしたが、水々しくて、シャリシャリして、少し酸っぱいけど、とっても甘くて、凄く美味しかったです。
美味しかったから、あっという間に食べ終わってしまいました。
(もう、なくなったです……)
もっと食べたいですが残念ながら見付けた赤い果実は一つだけ。
また、見つかるとは限りません。
(種は大事に取っておくです)
美味しいモノは集落に持ち帰って育てます。
なので、種は周りに残った硬い実を落として綺麗にしてから、失くさないように鞄の中に入れました。
今から実るのが楽しみです。
そうこうしていると服が乾きました。
服を着て、鞄を腰に着けたら準備は完了、さっそく森へ足を踏み入れます。
森の中は暗く、少しヒンヤリしていました。
ボク達が住む森と比べるとかなり暗いですがボクは夜目がきくので大丈夫。
少しの光があれば暗い場所でも明るい場所と変わりなく見えます。
だから、ぐんぐん奥へ進みます。
ぐんぐん進んで、進んで、進んで、ソイツに会いました。
ボクの全身の毛が逆立ちます。
ソイツは今まで見てきたどんな生き物とも毛色が違いました。
毛色どころか毛自体がありません。
嫌な匂いがプンプンです。
ボクは気付かれないようにジッとしていましたがソイツはボク以上に夜目がきくみたいで、たくさんある目が一つ、また一つとボクの方を見ます。
そして、たくさん目が全部ボクを見ると、静かにボクに近付いてきました。
怖くなったボクは急いで来た道を戻ったのです。
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