第7話
森の中へ入ると気温が下がるのを感じた。
空は葉や枝に覆われ、日光が届かず、夜よりも暗い。
視界が悪く、1〜2メートル程しか見えず、そこから先は暗闇が続いている。
しかし、森の奥が全く見えない訳ではない。
森の所々に見える光の筋。
まるで舞台のスポットライトの様に木漏れ日が森を照らしている。
(取り敢えず、あそこまで行ってみるか)
他に目印にできる物がなかった為、一番近くの木漏れ日を目指して森を進んで行く。
勿論、探索も忘れない。
何かないかと探しながら歩みを進めたが、視界が悪い為、何も見付けられないまま木漏れ日まで辿り着いてしまう。
(ライト……いや、ランタンがいるな)
何か明かりがなければ探索どころではない。
ベースキャンプに戻ればランタンはあるが、燃料は有限な為、今回はこのまま探索を続ける。
(罠の材料にランタン用の油。後は食料になりそうな物か。結構、多いな)
圧倒的に物資が不足している為、同時進行で必要な物を探す。
木漏れ日に照らされている範囲だけではあるが罠に使えそうな枝やツタ、木の実を見つける事ができた。
収集した物をバックパックに詰め、めぼしい物が無くなれば次の木漏れ日へ。
木漏れ日を渡り歩き、必要な物資を集めて行く。
そうして、収集を何度か繰り返す内、気が付けばバックパックが一杯になっていた。
(これだけ有れば充分だろう。そろそろ戻るか)
来た道を戻ろうと立ち上がった時、視界の端で何かが揺らめいているのを捉えた。
視線を向けると森の奥で何かが淡く光っている。
まだ距離はあるが、その光はユラユラと揺れながら少しずつ此方に近付いて来ていた。
(何だ……?)
光の正体を探るべく目を凝らす。
しかし、木漏れ日の中からでは明るすぎてよく見えない。
目を暗闇に慣らす為、木漏れ日を後にし、再び目を凝らす。
(妖精? いや、違う……。ん? 光の奥に何かいる?)
目が暗闇に慣れ始めると謎の光も次第に輪郭を現し始める。
そして、謎の光の全容が見えた。
何かを誘うように揺らめく光。
その光の奥に蠢く何か。
「ひっ……」
微かに照らされたソレを見た彼は、思わず息を呑むのだった。
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