第3話
容姿の確認を済ませた彼が次に行ったのはライフラインの確保である。
検証したい事は山程あるが先ずは生存第一。
周りを見渡すが泉を囲むように森が広がっており、人が住んでいる様子はない。
自身で衣食住を何とかしなければならないのだ。
飲まず食わずでは3日と保たない。
取り分け食の確保は急務である。
その為、検証は後回しにし、自身の持ち物の確認を行う。
先ずはポケット。
中からは現代人の必需品、スマートフォンが出てくるが、耐水仕様ではなかった為、故障しており、動く事はなかった。
(俺の異世界スマートフォン終了〜)
悲しいお知らせだが仕方がない。
気持ちを切り替えて、使えそうな物がないか辺りを探す。
(お? あれは!)
目に留まったのは見覚えのあるバックパック。
急いで駆け寄り中身を確認する。
(良かった。全部無事だ)
長年愛用している道具の数々。
今はその存在が何とも頼もしい。
水、保存食、調味料もある。
暫く食い繋ぐには申し分ない。
なら、やる事は一つ。
(ここをキャンプ地とする! なんてな)
テントを張り、薪を集め、火を起こす。
今まで幾度も繰り返してきた一連の流れなだけあって、動きに迷いがない。
心なしかいつもより早い気さえする。
(検証、検証、検証〜)
完全に心ここに在らずだが、彼の手が止まる事はなく、設営は次々と終わっていき
(これでよし!)
瞬く間に見慣れたベースキャンプができ上がった。
休まず動いていた為、額から汗が滲み出ているが、今は気にならない。
寧ろ疲労感が心地良い。
取り急ぎすべき事は終わった。
(もう良いだろう)
汗を拭い、声高らかに叫ぶ。
「ステータス、オープン!」
いよいよ待ちに待った検証の時間である。
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