第16話 天使さまの元同級生

――――【雄司目線】


 あのあと千曲は剛力先生に勘違いだったと告げ、迫田の疑いは晴れようだ。迫田はかなり立腹していたが千曲が女友だちを紹介すると言った途端、すべて水に流すことを決めたらしい。


 まったく現金な奴だ……。


 

 放課後、俺と雛森はいつものように律香先輩と兄貴の動向を探っていると……。


「あの……その……」


 雛森はなにか言いたげだけど、俺の方をちらちら様子を窺って言い辛そうにしていた。


「どうしたの? 俺たち仲間だろ、遠慮なく言ってみて」

「うん……あのね、雄司くんと千曲さんって、どういう関係なのかなって……」


 どういう関係もなにもただのクラスメートなんだが……。それに同じ聖女学院セイジョだったんだから雛森の方が彼女のことを知ってるんじゃないか? 


 そう思ったのだけど、雛森が気になってしまったからにはなにか深い理由があるのかもしれない。


「実は千曲から告られた。千曲の奴……雛森のことが好きだって」


 ブオーーーーン♪


「えっ? 雄司くんが千曲さんに告白された?」


 排気音のうるさい車が車道を通過し、会話しにくい。ホント、いい大人がああいう騒音を撒き散らすなんて迷惑極まりないよ。


「俺がなにか言えることじゃないし、また機会を改めて彼女から告白されるかもしれないな」


 雛森がだけど……。


 さすが女子校、百合という恋愛の形もあるのか、と感心している雛森が壊れたICレコーダーみたいにぶつぶつ独り言を言い始めた。


「雄司くんが千曲さんに告白される……雄司くんが千曲さんに告白される……私はいらない子、私はいらない子……」


 そんな訳ないじゃないか、と言いかけた瞬間雛森は今にも泣き出しそうな顔で訴えかけてきた。


「私と『れんしゅう』してください! 秀一さんとお姉ちゃんがしているように……」


 雛森先輩と兄貴は仲良く手を繋いでおり、あの二人はどこからどう見ても彼氏彼女の関係になってしまったんだと痛感させられる。


 そうか雛森も悔しさと嫉妬から『れんしゅう』したいって言いだしたのか……。


「うん、そうしよう」


 とは言ったものの女の子と手を繋いだことがないので、正直作法というものが分からない。兄貴がやってたことを見よう見まねでさっと雛森の前へ手を差し出した。


 雛森は俺の手に指が触れるとびっくりして手を引っ込めるが再びチャレンジすると彼女の手と俺の手が繋がった。意外なほど雛森は俺の手を強く握り、離したくなさそうな意志が見えた。


 ああ……、『れんしゅう』とはいえ雛森は本当に真面目なんだ。


 ひんやりとした雛森の手のひら。手を握ってしばらく歩いていると互いの熱は溶け合うようにして同じになってる。


 律香先輩と兄貴が先に行ってしまう。


 俺はぜいたくにも誰もがうらやむような美しい手をした雛森と手を繋げたよろこびよりも、律香先輩が遠くに行ってしまう寂しさに注意がいってしまっていた。


 それもそのはず俺は女の子と手を繋いで歩いたことなんてなく、どれくらいのペースで歩けばよいのか分からなかった。


 いつもよりゆっくり歩いているときだった。目の前から、もうこの世の春を謳歌に謳歌しまくっているかのような美少女3人組がおしゃべりしながら歩いてきたのだ。


 俺が思わず陰キャ根性丸出しで道端へと避けようとしていたら……。


「あれ? 陽香じゃん! ひっさしぶりー!」

「杏奈ちゃん!?」


 え?


 雛森が声を掛けられたのだけど、俺は驚いた。よく見ると学生でありながら、女優兼モデルとして活躍する杏奈と双子の声優、柊姉妹だったからだ。


「へえー、あんだけ他校の男子から告られまくってすべてお断りしてた陽香が男連れなんてねえー」


 杏奈は雛森の肩に肘を当てて、うりうりと押していた。


「陽香の運命の人」

「陽香の恩人」

「「付き合えて良かった!」」


 柊姉妹が息ぴったりに陽香を祝っている。


 いや俺……もしかして兄貴と勘違いされてね?


―――――――――あとがき――――――――――

先日、ブキヤが尻肉チラ見えライダーギャルの予約を開始したかと思えば今日(12/11)はアメノウズメですか……。いつもよりこんがり焼けてる褐色肌とかもうやりたい放題ですねwww

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