第3話

「え~と、次は【石田三成襲撃事件】かな? 前田利家さん死亡直後だから時期は読める……。その前に、戦力が欲しいな~」


 関ヶ原の戦いを思い出す。

 西軍の良将を、今のうちに味方に付ける……か?


 まず、立花宗茂さんに手紙を出す。大阪の治安維持の名目で来て欲しいと依頼を出すと、飛んで来た。


「いくさは、任せるばい!」


 次に、島津家だ。参勤で上京していた義弘に声をかける。島津豊久もいる。


「首置いてけ! 首置いてけ! なあ!」


 怖いけど、味方になってくれた。

 真田家にも声をかけたんだけど、静観するみたいだ。流石、真田昌幸だな。慎重だ。

 伏見城にも兵を置いたので、防衛態勢は整ったはずだ。



 3月に前田利家さんが病死してしまった。本当に、徳川一強時代に突入することになる。

 私は、伏見城で待機だ。時期を見て、前田家に挨拶に行こうと思う。すぐにでも弔問に行きたいけど、狙われているんだよね。

 待っていたんだけど、七将による『石田三成襲撃事件』は起きなかった。そもそも、私は大阪屋敷には泊まらなかったしね。戦力差を理解してくれたらしい。


「殿……。この様な警備を敷いて、どないしたのですか? 立花さんと島津さんまで武装させるとか……。何処も攻め込んで来ませんでしたよね?」


 左近君からだった。


「ちょっと、きな臭い話を聞いたんでね。加藤清正さん、福島正則さん、黒田長政さんあたりが、兵を集めてたみたいだね~。奇襲に備えただけだよ」


 立花さんと島津さんは、がっかりといった感じだ。だけどね、まだ火種は残っているのよ。警戒は解かない。

 そう思っていたんだけど……。


「軍が伏見城に向かってるの?」


「七方向より、伏見城に進軍しているとのこと。数日で包囲されそうです!」


 やっべえよ。恩賞をはずんだけど、石田三成は恨まれているんだな。

 つうか、怒りは収まってなかったか。


「いくさじゃ~! 皆の者出陣じゃ~!」「「「おおお!」」」


 立花軍と島津軍が、出陣してしまった……。

 味方に引き込んだけど、制御できないよ。


「これ……、どちらが勝つか分からないな。どうすっかな~」


「ワレも出陣したいのですが……」


 島左近を見る。知将は、彼しかいない。


「徳川さんにさ、仲介を頼んで来てくれない?」





 『文禄・慶長の役』の味方同士の戦になった。

 敵の七将は、立花軍と島津軍の旗を見ると、進軍を止めたみたいだ。やっぱ、怖いよね。奇襲されたら、将の首狩り戦術になるんだし。

 そうこうしていると、徳川家の家老が来てくれた。


「双方、鉾を収める様に。秀頼さまにご心配をかけている」

「「はは~」」


 徳川さんに借りを作ることになるけど、ここは史実に従おう。

 それと分かったことがある。


「加藤さんとは、それなりに親しくなったけど、襲撃事件は止められなかった。黒幕がいそうだね」

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