第4話 道場での教え
道場に着いた詩廼と巴は、独特な雰囲気に緊張していた。周囲では、熱心に将棋を指している子供たちや大人たちの姿が見えた。詩廼はその光景に少し圧倒されながらも、巴に続いて道場の中へ入った。
しばらくして、道場の先輩である優太(ゆうた)くんが二人に気づき、声をかけてきた。
優太 「お!新しい仲間が来たんだね。将棋、やってみる?」
巴は嬉しそうに頷き、詩廼も少しだけ気持ちが軽くなった。
巴 「はい、ぜひ!」
将棋を指しながら、優太くんは詩廼に目を向けた。
優太 「詩廼も将棋を楽しむために来たの?」
詩廼 「ええ、でも…勝ち負けがちょっと苦手で。」
優太くんはにこにこと笑い、駒を動かしながら答えた。
優太 「楽しむことと勝負に勝つことは、実は両立できるんだよ。」
詩廼 「え?どういうこと?」
優太 「理屈じゃないんだ。勝負を楽しむためには、勝たなきゃいけない。それが人生なんだ。」
詩廼はその言葉に戸惑いながらも、優太くんの真剣な表情に引き込まれていった。
詩廼 「でも、勝ち負けにこだわると、将棋がつまらなくなっちゃう気がする。」
優太 「それは分かる。でも、勝つための努力があるからこそ、勝った時の喜びも大きいんだ。負けても、次はどうするかを考えることで成長できるからね。」
巴もその話に興味を持ち、頷いた。
巴 「なるほど。それって、将棋だけじゃなくて、いろんなことに通じるよね。」
詩廼 「そうかもしれないけど…やっぱり、勝負のプレッシャーが苦手なんだ。」
優太くんは詩廼の肩に手を置き、優しい笑顔を見せた。
優太 「最初はみんなそうだよ。だから、まずは将棋を遊ぶことから始めてみればいい。それができたら、自然と勝ちたい気持ちも出てくるさ。」
その言葉に、詩廼は少しずつ心が軽くなるのを感じた。将棋を遊ぶために、無理をせずにやってみることが大切だと気づいたのだ。
詩廼 「ありがとう、優太くん。もう少し頑張ってみるよ。」
優太 「それでこそ、詩廼だよ!さあ、次はどうする?」
道場の中での会話が、詩廼の心に新たな光をもたらした。将棋を楽しむことと、勝負に挑むことの両立を意識し始めた彼女の目に、少しずつ自信が芽生えてきたのだった。
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