第6話
気が付けば月曜日を迎えていた。横田さんからの連絡通知で朝がやってきた。今日のシフトは川口が代わりに入るという。いつものことだ。先週も、だった気がする。どうやら就職にかかわる大事な試験の前らしい。眠い目をこすり了解のスタンプを送信した。
昼間は通える県内の大学に行き、15:38発の電車に乗り、帰宅。少し早めに自転車でバイト先へ向かった。約十五分の片道距離を終え、更衣室でスマートフォンをいじっていると、数分か後に川口が到着した。物静かな部屋でいきなりドアが開くと何故だか焦る。
イヤフォンを両耳につけ「おう」と片手を上げる。こちらも「おう」と返し、立ち上がりエプロンのひもを後ろで結ぶ。すでに方からエプロンをかけていたので後は結ぶだけだ。
「で、どうすんだ?三日後だぞ?」
とロッカーからエプロンを取り出した川口が言う。
「んまあ、考えてはいたけど」
は嘘だ。考えようにも思いつかない。
「それは考えていないな」
とあっけなく気づかれた。
「今日は作戦会議だ」
と言う川口の後に続き、タイムカードを切りに行った。一番通路から手直しをはじめ、反対の十番通路から手直しをする川口とは
大体、五番通路で合流する。以前の水曜日は
副店長『北川』にバレないように一緒にやっていた。反省も踏まえ、黙々と一人でこなしている。「おう、こんにちは」と挨拶をされたので、その声の方に目を向けるとこの店の店長『漆原』がいた。少し焦りながらも挨拶を交わした。ワックスでしっかり固めた髪型で優しそうな笑顔。理想的な上司の姿だ。そのまま店長はバックヤードに戻っていく。
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