愛よりも、響いた
久々原仁介
愛よりも、響いた
ごめんなさい。
よくよく考えましたが、私の気持ちは迷惑であれば捨ててください。
きっとこれは私のわがままなんです。私は貴方のことが好きだけど、貴方が私ではない他の人と歩く姿を赦せない。そんな、器の小さい女のことは忘れてください。
それは貴方のせいではなくて、心の美しくないわたしのせいだ。
貴方は「友達のままいよう」と言ってくれたけど、私たち、友達としては付き合ってはいけないと思います。
ねえ、友達って、どこまでが友達なんですか。
定義を決めたいわけじゃないんです。
私のなかで「貴方の恋人になりたい」という感情が芽生えたときから、わたしは貴方の友達ではなかったのかもしれません。不誠実な女でごめんなさい。
それでも一つだけ教えてください。
なんで私に「寂しい」なんて言ったんですか。
結局、私を受け入れることができないなら言わなければよかったじゃないですか。あなたは寂しい人かもしれないけど、それ以上にずるい人だ。
ずっと私は、貴方を受け入れてましたよ。
わたしの頬も、首も、胸も、お尻も。
触れられたのは、貴方が初めてでした。
恥ずかしいから言ってませんでしたけどね。
私が貴方に会いにいけないのは、いま会ったらきっと貴方のことを求めてしまうからです。こうして泣きながらメッセージを打っていても、私のカラダは貴方に触れたくなってしまう。なし崩しのセックスはきっと私を元に戻れなくしてしまいそうで怖いんです。
この2年間で、貴方は私の皮膚のようになったと思います。
だから利用して捨てたなんて、思ってませんよ。
貴方が欲しいのはきっと「友達」ではないから。そこに私を無理に入れても、お互い辛いだけだから、そういう間違いが起こったとき悲しくなるのは貴方だから。
わたしはゆっくりと貴方のくれた皮膚を溶かして前に歩こうと思います。
わたし、馬鹿な女でしたか。
いいよ、それでも。
わたしを選べば、貴方のこと誰よりも幸せにするのに。
惜しいことをしましたね。
さようなら。これからなんてないけれど夜のように好きでした。
きっと貴方に狂わされた。
狂おしいほどの恋でした。
愛よりも、響いた 久々原仁介 @nekutai
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