第17話:ジョリーのダチたちからのお祝い。

コシュマールヴィエルの連中はみんな揃って人間界に来たらしい。


一番驚いたのは千春さんだった。

顔色の悪い連中が、なんの前触れもなくいきなり現れたんだから・・・。


千春さんは大慌てで家の中に逃げ帰えろうとした。


「お母さん大丈夫だよ、みんなジョリーの友達だから・・・怖くないから」


帰ろうとした母親を好人はめでたいことだからと引き止めた。

好人からそう聞いて千春さんは少しだけ安心した。


「ジョリー・・・好人、おめでとう〜」


アブゼルがそう言うと何発ものクラッカーが鳴った。

そして宙に舞う紙吹雪。

近所の人は何事が始まったのかと思ったに違いなかった。


千春さんが心配した。


「あの、あまりうるさくするとご近所にご迷惑ですよ」


なこと言ったって悪魔たちには通じない彼らは全員で、ふたりを祝福して

くれた。


「え〜どうやって来たんだよ・・・君たち」

「誰か悲しみのどん底に落ちて耳鳴りが起こったとか???」


「そんな軟弱な悪魔は、ひとりもいねえよ」


「悲しみを抱えたやつがコシュマールヴィルに行くんだよ」

「人間界に来るにはハッピーな気分じゃないと・・・」


アブゼルがそう言った。


「なるほどね、このことジョリーは知ってたの?」


好人はジョリーがアブゼルたちとコンタクトを取っていたことを思い出した。


「うん・・・ヨシトへのサプライズだからって内緒にしとこうって、

みんなで話し合って・・・」


「あはは、ここへ来れたのは俺のコンパーチブルに次元を飛び越える装置を

つけたからだよ」

「悪魔の中にはそんなことを研究してる天才もいるのさ・・・」

「でもこれが初の試み・・・」

「失敗したら、どこか他の世界に行ってたかもしれないけどさ・・・」

「でも、結婚式に間に合ってよかったよ」


「それからジョリー・・・結婚ももちろんだけど妊娠もおめでとう」


ジョリーはみんなから、またおめでとうって言われた。


ロリータのオーラルからは可愛らしい赤ちゃん用の衣装をプレゼントされた。

アダルト・フェラからは花束を・・・。


こうして好人とジョリーの、ささやかな結婚式は悪魔たちのおかげで、にぎやか

に幕を閉じた。


で、何がって・・・

結局、アブゼルたちは、いつでも人間界に来ることができるようになったわけで

また赤ちゃんが生まれたら、お祝いにかけつけるからってコンパーチブルに乗って

コシュマールヴィルに帰って行った。


好人は、自分の家に悪魔が住みつかなくてよかったとホッとした。

あんな連中・・・まあ憎めない連中だけど、そばににいられたらやっぱり

ウザいからね。


「生まれてくる子供にだって悪影響及ぼすかもしれないし・・・」


つづく。

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