第16話:ささやかな結婚式。
「私は嫌だからね・・・そんなウザなこと・・・そんなのダサいこと・・・」
「それに、なんで悪魔が神様の前で愛を誓い合うんだよ・・・それおかしい
でししょ?・・・神様だってシラけるに決まってるよ」
まあ、それは理屈だ。
結婚式なんてありえない話だろう、悪魔からしてみれば・・・。
ジョリーから言わせて貰えば好人とセックスした時点で結婚したも同然なんだから、
それでちゃんと成立してることを、なんで人間界でいまさら形にしなきゃいけないんだって思った。
なにより人間界のしきたりや形に振り回されるのはジョリーは嫌だった。
好人は別に結婚式なんか挙げなくてもいいって思っていたからジョリーが嫌なら
それでいいと思っていた。
まあ、そのことについては好人とジョリーの間で揉めるようなことはなかった。
それならと千春さんは、家族だけでささやかなお祝いをしようとふたりに提案した。
マンションの前の公園に、テーブルと椅子を持ち込んで三人だけで、結婚のお祝いをしようと言うことになった。
ジョリーもせっかくの千春さんの申し出をムゲにするようなことはなかった。
「ふたりとも、いつまでも幸せにね」
「ジョリーちゃん・・・可愛い赤ちゃんを産んでね」
千春さんは、そう言って祝ってくれた。
それにしても悪魔が普通に人間の子供を宿すなんてね。
ささやかだけど幸せな結婚式。
参列者はって言うか・・・媒酌人は千春さんひとり。
それでも、好人は充分満足だった。
この、つつましやかで、ささやかな催しに心から幸せを感じていた。
ジョリーは好人の横で、これでよかったんだと幸せをかみしめていた。
笑って、食べて飲んで・・・本当に思い出に残るハッピーなお祝いだった。
申し訳程度のお祝いが終わって三人はテーブルを片付けようとした時だった。
いきなり、それは現れた。
公園の上空にアブゼルの真っ白なコンバーチブルが突然現れたのだ。
コンバーチブルは好人とジョリーと千春さんの頭の上を通り越して、うまい
具合に公園の木々を倒さず止まった。
もちろん運転はアブゼル、助手席にドルガイルが乗っていて後部座席には
クリノリスにアヌスラットそしてアダルト・フェラにオーラル・セックも
乗っていた。
みんな揃って人間界に来たらしい。
一番驚いたのは千春さんだった。
顔色の悪い連中が、なんの前触れもなくいきなり現れたんだから・・・。
千春さんは大慌てで家の中に逃げ帰えろうとした。
「お母さん大丈夫だよ、みんなジョリーの友達だから・・・怖くないから」
好人からそう聞いて千春さんは少しだけ安心した。
つづく。
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