第7話:死の館ラ・モール。

停留所から死神の館まで歩いてほんの二・三分。

煉瓦造りの古ぼけた建物・・・看板に「la Mort」と書いてあった。

ジョリーがラ・モールって読むんだと教えてくれた。


店の中に入ると、そこはまあ、カオスだった。

いろんな骨董品で店の中は、足の踏み場もないくらいいっぱいだった。

怪しげなものばかりで店内が飾られていた。


おまけに美人だけど顔色の悪いウェイトレスがパンツが見えそうなミニスカート

で注文をとりにうろうろしていた。

ふたりが座ってる席の左横の客にウェイトレスが注文を取りに来きて少しかがむと

パンツが丸見えだった・・・可愛いお尻がこっちを向いていた。

好人は条件反射って言うの?・・・ついスカートの中を覗いてしまった。


「ヨシト・・・どこ見てんの・・・パンツなら私の見たでしょ?」


ウェイトレスは振り向くとふたりのところに注文を取りに来た。

彼女もまた悪魔・・・「めっちゃエロい」・・・しか言葉が浮かばない好人。


注文たって好人はコシュマールヴィルの食べ物なんか分からないからジョリーに

任せた。

頼むたって、メニューを見てもどれがなにか分からないんだからしょうがない。


出てきた飲み物は好人もよく知ってるカレーに似ていたが見た目はよくなかった。

好人は恐る恐るそのカレーもどきを食べてみた。

これは見た目と違ってかなりいける代物だった。


「美味いわ・・・これイケる・・・」


「そうだろ・・・モノは見た目で判断しちゃいけないんだよ」


店内には他にも、悪魔であろう方達がいて、この光景はいつものようにいつもの

ことのようだった。

話の話題は人の中傷か恋愛話・・・そのへんは人間の世界と変わらないと

好人は思った。


好人はふと我に返って人間界のことを思い出した。


(みんなどうしてるんだろ・・・友達にも会いたいよな)

(いつになったら僕は僕の家に帰れるんだろう・・・)


こんな世界に閉じ込められたままならホームシックになりそうだと好人は思った。


好人の気持ちを、ここに止めていたのはただひとつ。

それは興味と好奇心をそそられるジョリーとのセックスだった。

ジョリーは悪魔だけど、人間の女性以上に魅力的だった。


悪魔とセックスしてみたい・・・今は、そんな気持ちがふつふつと湧き上が

っていた。


(ジョリーは、いつエッチをさせてくれるんだろう?)


夜になると店は飲み屋に変わるらしく、酒飲みの悪魔たち客がやって来て

そいつらの馬鹿話は好人とジョリーが帰る頃まで賑やかに続いた。


(こいつらは毎日、こんなことばかりして生活してるのか?)

(人間の世界と変わんないんだな)


「ねえ、ジョリーこの連中って、ちゃんと仕事とかしてるの?」


「うん、それぞれみんな自分の仕事や趣味を持ってるよ」

「だから羽を伸ばすのは夜だけだよ」


「あのさ、私、明日も学校があるんだ・・・人間界に帰るの学校から帰ってから

でいい?」


「いいよ、ここまで来たら慌てないから・・・ここも面白いしね」


「屋敷にヨシトひとりいたら退屈だから明日は一緒に学校へ行こうね」


「うん、じゃそう言うことで」


そう言うことで今夜はジョリーの屋敷の泊まらせてもらって、翌朝ジョリーの

学校へ一緒に行くことになった。


つづく。


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