第6話:ディーモナイズな街。
で二人はバスに乗りこんだ。
ジョリーの後からバスに乗り込んだ好人は目の前にジョリーの尻があった
から思わずしゃぶりつきたくなった。
「美味そうな桃だな」
「ヨシト・・・・私のお尻でエロいこと想像してたでしょ?」
「いやいや、混沌の街なんて街があるんだな〜って思って・・・」
「あるよ・・・いろいろ」
「暗黒の街に、裏切りの街、悲しみの街に、憂鬱の街、陽炎の街に、蜃気楼の街」
「沈黙の街に、黄昏の街に、忘却の街に、ため息の街ってのもあるよ」
「なんか行きたくなさそうな名前の街ばかりだな」
「まあね・・・ここには向日葵の街とか菜の花の街なんて似つかわしくないでしょ?・・・だからだよ」
車内は他の客もいるのかと思ったら、貸切状態だった。
「誰も乗ってないんだけど・・・」
「あ〜乗ってるには乗ってるけどね、好人には見えてないだけだよ 」
「ここには透明なやつもいたりするからね」
「透明人間?」
「人間じゃないけどね」
「中には誰かに姿を見られたくない恥ずかしがり屋の悪魔もいるから」
ふたりを乗せたバスはノッキングを起こしながら目的のバス停に向かって行った。
好人はバスに乗る前に運転席なんか見なかったもんだから改めて運転席を見て
驚いた。
当然運転手がいるもんだと思っていたから、なんと運転席に誰もいないのだ・・・。
「このバスって、誰が運転してるの?」
「だれも運転なんかしてないよ・・・勝手に走ってるんだよ」
「だって・・・それで大丈夫なの?ちゃんと目的地に着くのかな?」
「このバス、ただの機械だと思ってる?」
「違うの?どう見てもバスだよね・・・」
「このバスも悪魔だよ、悪魔の一種」
「バスもね、何百年も走ってるとディーモナイズになっちゃうんだよ」
「ディーモナイズ?・・・ってなにそれ?」
「モノが長くこの世界にいると変化して悪魔化しちゃうってこと」
「この街、そういうやつ多いから」
「つうかさ、この街にあるものは、ほとんど人間界から誰かがパクって来たって
言うか模倣したって言うか、みたいね・・・はなっから生産性の少ない街だからね」
「ねえ、ここ車とかないの?」
「あるよ・・・車だって電車だってバスだってあるし馬車も走ってるわよ」
「私は車は持ってないけどね」
「あ、そうなんだ・・・馬車は分かるけど、こんな風情だから機械的な乗り物
なんてないのかと思った」
「バカにしてる?」
「そんなことないよ」
「こう言う世界には、それなりのイメージってあるからさ」
「先入観って言うの?」
「街並みとか見てると古風だから文明は発達してないのかって思うじゃん」
「そう思うだろうけど意外と文明発達してるんだよ」
そうこうしてるうちにバスはふたりの目的のレストランの最寄りのバス停に
停まった。
よく見たら、人間界と同じような停留所があって標識には「crâneville」って
意味不明な文字が書いてあった。
「ここで降りるから・・・」
「うん・・・あ、あの標識の文字だけど・・・なんて読むの?」
「クラヌヴィルって書いてあるの、ここは(髑髏の街)って言うところなの・・・」
「どくろ?・・・わあ、不気味な町の名前だね」
「ちなみに、この町外れのラ・モール・・・「死神の館」って店が私たちの
溜まり場・・・」
「そんな名前ばっかだな・・・」
つづく。
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