第2話:ジョリーと言うフォレッタ「小悪魔」
心に悲しみのストレスを抱えた
はっと気がつくと好人はいきなりなにか柔らかいモノに思い切りダイブしていた。
いきなりだったから、そのなにかは身構える間も無く好人と一緒に後ろにぶっ倒れて脳シントウを起こすくらいゴチンって頭を打った。
「いった〜い・・・もう死んじゃうぅ」
「いきなり、なに?・・・ちょっと待って?なにこれ?」
そのなにか、あるいは誰かがクッションになったおかげで好人は怪我をせずに
済んだ。
「私の上に乗っかってるあなた・・・初対面で女の子の上に乗っかるなんて
これなに?レイプ?」
「それにおっぱい・・・おっぱい掴んでるけど・・・」
そう言われて好人は訳が分からないまま、そのおっぱいとやらから手を離した
・・・どうりで触り心地がいいと思った。
「あ、すいません、ごめんなさい」
好人は自分の下にいる誰かが女性だとすぐ分かった。
「本当にごめんなさい・・・つい出来心で・・・あ、違います、故意です、
わざとじゃないですから・・・・あの、あの僕もよく分かってないんです」
「いきなり現れて抱きつかれたらびっくりするでしょ?」
「って言うか・・・近い・・・顔が近いってば・・・チューしそうじゃん」
「あ、ごめんなさい!!」
「まあ・・・私もびっくりしたけど、あなたもびっくりしたよね」
そしたらその子はその子の上に乗っかってる好人をキツくハグした。
「でも、怪我なかったみたいね」
「あなたこそ、怪我ないですか?」
「だから、どさくさに紛れて私のおっぱい触らない・・・」
「いや、僕の思考とはうらはらに勝手に手が・・・」
「なに言ってんの・・・いきなりのことで気が動転してんでしょ?」
「落ちついてでいいからね・・・ゆっくりでいいから何が起こったのか話して?」
「って、その前に、あなたが私の上に乗っかったままだと誰かに見られたら変に思われちゃうから・・・起きてくれる?」
「はい、すいません」
好人は自分が起きるついでに彼女の手を取って起こしてあげた。
「ありがと」
「私、学校からの帰りだったの・・・そこにいきなりあなたが飛び込んで
来たから・・・」
「あなた、人間だよね、そんなに私に抱きつきたくて人間界からやってきたの?」
「いや、そう言うことじゃなくて・・・その耳鳴りが酷くて、それで気を失った
って言うか・・・抱きつきたいってなんですかそれ?」
好人は少し落ち着きをとりもどしたので改めて目の前の女の子を見た。
にっこり笑ったその顔はつぶらな瞳に長い髪・・・彼女の特徴はその長い髪。
おさげにしてあって髪の色がピンクから黄緑に染まっていた。
そしてなんと学生服を着ていた。
セーラーの上着にギンガムチエックのミニスカート。
ネットで売ってる、まがい物のアメリカンハイスクールのコスプレみたいだった。
目の前のその子は、まるで好人のために現れたかのようで偶然にしては、まさに
好人のどストライクのタイプの子だった。
好人は、一目見てめちゃ可愛いって思ったって言うか、まじ一目惚れだった。
だけどどうも何かが違う・・・この場所って言うか、この世界の雰囲気?
片田舎風な風景・・・石畳の道路・・・ヨーロッパの旧市街って感じだった。
しかも女の子と好人の横をバスがクラクションを鳴らしながら走り去って行った。
「わ?バスなんか走ってる・・・」
「バスなんて・・・珍しくもない」
そう言ったその子を好人はこの子はいったい誰?って思った。
「そんなことよりさ、人間がこの世界に来るの珍しいんだよ」
「僕の他にも?」
「時々だけど迷ってやって来る人いるみたいね」
「そうなんですか、なんかご迷惑おかけして申しわけありませんでした」
「で・・・ここはどこなんですか?」
「あと・・・君は?・・・誰?」
「そうね・・・まずは、ここがどこかって質問・・・」
「ここはコシュマールヴィルってところ・・・悪夢の街だね」
「ってことは、あなたは悪い夢を見てるってことになるのかな?」
「悲しい思いや、嫌な経験をした人は、時々この世界に迷い込んでくることが
あるみたいだから・・・」
「だから、あなたはまだ、何かの悲しみに囚われてるってことになるね」
「残りの質問・・・なんだっけ?・・・ん、なに?」
「あ、君は誰?」
「そうそう、私は誰?・・・私はフォレッタ・・・小悪魔・・・」
「名前は「ジョリー・マルール」」
「ジョリー・マルール?・・・え?・・・小悪魔さん?・・・ですか?」
「そうだけど・・・あ〜小悪魔なんて聞いて信じられないって顔してるけど」
「言っとくけど・・・この制服も含めてコスプレじゃないからね・・・」
「悪魔なんて、なんか昔の伝承の中のキャラかと思ってました・・・
もっとこうジメッとした暗闇なんかに潜んでるとかと・・・以外と明るい
ところに棲んでるんですね?」
「ああイメージ悪いんだよね・・・考えてみてよ・・・実際、暗闇なんかに棲める
わけないでしょ?
悪魔って言うと悪いヤツとか怖いヤツとかキモいとか思われちゃうし・・・」
「そんなの全部、うそだよ・・・みんな平和に暮らしてるんだよ」
「人間と同じようにね」
つづく
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