第3話 これから

 アネリーの体に優しく包まれて、俺は不思議と冷静になれた。けれど、やっぱりわからない事だらけだ。


「俺は何をすればいいの?」


 慣れない巨大な椅子に座りながら、俺はそう言った。


「グリオス様の思うままの事を、ご自由に。」


 俺のやりたい事は何だろう? 病気になってからの俺は、やりたい事なんて一つもなかった。何かを望むことは、苦しさを増やすだけだった。


 俺は、あのゲームのラスボスみたいになりたかった。自分の名前は忘れてしまっても、この思いだけは忘れない。


「この世界を征服できるかな?」


 俺がそう言うと、途端にアナリーの顔は怖いほどのニヤケ顔になった。


「もちろんでございます!グリオス様の力を持ってすれば、子犬を手懐けるようなものでございます!」


 アネリーは 「はぁ// はぁ//」 と荒い呼吸をしながら顔を火照らせる。


「ど、どうしたの?」

「私は、私は嬉しいのです! グリオス様のその思想に、私は性的な程の興奮を覚えてしまいます!」

 

 こいつはかなり危ない女だな… 犯されそうな気迫だ。


「も、申しわけございません、 少々取り乱してしまいました。」


 アネリーは少し経つと落ち着きを取り戻した。


「それで、俺はどうすればいいの?」

「はっきり申しますと、グリオス様ほどの力がおありならば、何もしなくとも数十年ほどでこの世界の全てを征服できるでしょう。

 けれど、グリオス様が本気になるのであれば、長くても数年で確実に征服できます。」


「……」


 そんな話、信じられるはずがない。病気で死んだ俺が世界を征服するなんて、馬鹿な話すぎる。


「信じられませんか?」

「信じられる筈がないよ」

「でしたら、掌を天井に向けてみてください。」


「こう?」


 俺は、子供が無邪気に空へ手を伸ばすように掌を天井へ向けた。


「そうしましたら、その天井を壊したいと願ってみて下さい」


 ? この女は何をおかしな事をいっているんだろう。まぁでも、一回くらいやってみるか。


  ドゴォォォん!!


 俺の腕からなんか出た。めちゃくちゃデカいビームが出た。な、何これ? 天井にめっちゃデカイ穴あいてるんだけど、、 綺麗な青空がみえるんだけど、、


「それが、グリオス様の力でございます。

リビドー 

と呼ばれるその力は、グリオス様だけが有する力、自分の欲求・衝動に応じて無限のエネルギーを放出できるのです。」


 何その超カッコいい能力!

 もしかしたら、ほんとに世界を征服できるんじゃね!?

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