第1章 第3話 ドールズシンフォニー
前回までのあらすじ
武器屋の店主にムラマサを返しに向かった音也
店主にムラマサは返さなくても良いといわれ、そこで音也は名前を聞かれフルネームを答える
音也の祖父を知っていた店主はムラマサに選ばれた理由、持てる理由に納得し1人呟いた
道具屋で人形の館のことを知り、人形の館に向かうと玄関には侵入者避けの糸がトラップとして存在したが、密度は緩く触れても少し怪我をするくらいだった
無人のはずの館には作りたての料理があり、蜘蛛の巣や埃もない状態であった
音也とアランはこの館にいたシャルロットという人形の少女に出会う
仲間になると手を取り合うその瞬間、妖魔軍幹部・人形遣いのチェスターが現れシャルロットに糸を巻きつけてしまう
-Side カトレア&サーシャ-
無数の魔物がカトレアたちの前に現れる
しかしその軍団は妖魔軍が多数だ
屍鬼軍ではない
「この程度なら数は多いがすぐに片付くな」
カトレアがそう言った瞬間、妖魔軍の魔物の額に矢が刺さる
額だけでは無い
妖魔系の魔物の弱点である心臓や腹部にも矢が刺さる
「…散々怖がらせて出てくるのが屍鬼軍じゃなくて妖魔の群れ…
どうせここまで怖がらせて出てくるなら屍鬼軍出してきなさいよ!
絶対に許さないんだから!」
サーシャの怒りだった
その怒りでいつもより力を発揮しているのかいつものサーシャより断然強い
(まぁこちらとしては願ったりだが、そんな事でいいのか?)
カトレアは疑問に思いつつ、妖魔軍たちの相手をする
「コキュートス!シャインスラスト!」
カトレアは左手からコキュートスを右手に持った槍から光属性の魔法を出して攻撃する
妖魔軍の大半はコキュートスによって倒されてしまう
道が開けたためカトレアたちは音也のいる研究室の方へと向かう
「サーシャ!勇者たちのいる場所に向かうぞ!」
「気安く呼ばないで!そんなこと言われなくてもわかってる!」
-Side 音也-
シャルロットには無数の糸が絡みつき自由に動けない
チェスターが右手人差し指の糸を引っ張るとシャルロットの右腕が力なく上がる
「これはこれは中々良い人形ですね」
「野郎…!なかなか胸糞悪いことしてくれるじゃねーか」
アランは怒りをあらわにしてブーメランを投げる
しかし、次の瞬間シャルロットに巻きついた糸に弾かれてしまう
まるで物理攻撃を受け付けないかのように
「切断できねぇのか…!」
「残念でした!我が魔力、パペットの前ではいかなる物理攻撃も無力!
切断など夢のまた夢です」
チェスターはアランを見下すかのように嘲笑っている
武器で触れたところで弾かれるではどうすればいいのか
音也はそれに答えるかのように
「
「それが噂のクロスですか
どれほどの物か見させていただきましょう」
チェスターはシャルロットを操る
シャルロットの手には糸がありこれがシャルロットの武器だということがわかる
「嫌…!嫌!攻撃なんてしたくない…!」
シャルロットは攻撃しないように必死で抗うがそれも虚しく音也へと攻撃してしまう
シャルロットが抵抗したおかげで糸の軌道が少しズレ、何とか回避には成功する
「こんなことしたくない…!こんなことをするくらいなら私を壊して!
こんなことに使われるために創られたわけじゃない!」
「わかってるさ今助ける
ムラマサ!風を纏え!」
ムラマサでシャルロットに絡みついている糸を切断しようとした瞬間、音也の体に風で切り裂かれたように鋭い傷が着く
それを見たチェスターは音也を嘲笑う
「おっと、言い忘れてましたが魔力で切断しようとすれば切断しようとした者にダメージが返ってきますのでご注意を
ああ、もう手遅れでしたねぇ」
「趣味が悪ぃ野郎だな」
アランはそう言うとチェスターはまるで待ってましたと言わんばかりに笑顔になる
「趣味が悪い?大いに結構!胸糞が悪い?大いに結構!
相手が苦しみながら手を出せずにいることそれもまた大いに結構!
それでこそ最高のショー!
我が人形劇なのですから」
「性根の腐った野郎だぜ…!」
アランがそう呟くと実験室の後ろの扉から戦っている音が聞こえる
そして…
「勇者、聞こえるか!?
今のお前ならできるはずだ!新しいクロスが」
カトレアの声だ
ドアから妖魔軍が実験室に入らないようにドアの前で戦っているのだろう
それを聞いた音也は
「ああ、出来るさ
きっと出来る
魔導の力よ、我が身に宿れ!
音也はドールズクロスと叫び変身した
その姿はシャルロットと似たような姿に変化する
黒いドレスに身を包み日傘を持つ、異なる点として小さな黒いシルクハットと黒髪のツインテールというところだ
「おや、私に操られる人形がまた増えましたね
是非コレクションに…」
チェスターが糸を伸ばし、音也に巻つけようとする
それを拒むかのように音也は糸でチェスターの糸を切断した
「私の糸と同様の性質にして切断した…?バカな!そんなことただの人形風情が出来るはずがない!」
「俺はお前を絶対に許さない
お前のような人質を取って精神に攻撃してくる卑怯者を絶対に許さない!」
音也は怒りをあらわにした
チェスターはもう一度シャルロットを操り音也を攻撃しようとする
「我が手足よ、やつを仕留めなさい!」
「嫌…!もう止めて!攻撃なんてしたくない!」
「絶糸…!災いを断ち切れ!」
音也が呟くとシャルロットに巻きついた糸を切断し、シャルロットをこちら側に誘導するように巻きつけた
音也はシャルロットを引き寄せると糸を解きシャルロットを解放した
「ありがとう、操られたくなかったのに…攻撃なんてしてごめんなさい」
「いや、シャルロットは悪くない
悪いのはチェスターだ」
音也はチェスターを睨む
「わ、私はただこのシャルロットをコレクションに加えようとしただけだ!
何も悪くない!」
「こいつ…!」
「黙れ!お前を自分の手を汚さずにシャルロットを使って俺たちを倒そうとした
それだけで十分な罪だ!
剣よ舞え!ブレードダンス!」
音也はムラマサを操り、チェスターを切り裂くチェスターの左目は潰れているが、この一撃を受けてもチェスターは生きている
今のうちにトドメを刺さなければ被害者が増える
音也はムラマサでチェスターを突き刺そうとした瞬間
頭上から轟音が響き、砕けた破片で埃が立つ
カトレアとサーシャもその音に気付き実験室へと入る
そのシルエットは大きな翼を広げ、チェスターを抱えている
そのシルエットはカトレアに語り掛けてくる
「お久しぶりですお嬢様」
「お前は…エレシュマ!」
青紫の長髪に悪魔のような大きな翼そして夢魔特有の魔眼を持っている女性だ
「今日は仕掛ける気はありません
チェスターのため、勇者の健闘に免じてここは退かせてもらうわ」
エレシュマはチェスターを抱き抱えたまま翼を広げる
そして…
「お嬢様、アルゼス教団に来ませんか?
あなたの必要としているものも見つかります」
「断る!お母様の理想を叶えるためにお前たちを許しはしない!」
「そうですか…残念です
最後に一つ言わせて下さい
神は居るわどのような形であっても」
エレシュマは飛び去った
その闘気にサーシャとアランは気圧されていた
ベルーガと同等かそれ以上の闘気、おそらく将軍クラスだろう
これからは強くならなければこのクラスを相手には戦っていけないだろう
チェスターを倒しきれなかったこともそうだ
「俺は空を飛べるようにならなければ…
あのクラスとも戦うことになるんだな」
音也はそう呟き
勇者一行は館を後にした
シャルロットを仲間に加えてオーレンへと戻る
その道中日は沈みかけ、夕焼けと海が見える
「ねぇ、この世界は光と闇どちらが溢れているの?」
シャルロットは音也たちに聞く
そして…
「それを決めるのは俺じゃない
自分で見て確かめるしかないんだ」
「そうだな、自分の目で見るしかねぇぜ」
音也とアランはシャルロットに言う
それに続きカトレアとサーシャも言う
「そして光を求めるなら自分で解決する必要もある」
「光ばかりじゃないけど大切なものもありますしね」
それを聞いてシャルロットは微笑む
(この人たちは光、だから私はこの人たちと歩みたい
そうしたら正しいことの光でいられる気がするの)
第3話 ドールズシンフォニー End
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