第6話 安心感と開放感

その夜、時佳はベッドの中で布団にくるまりながら、ぼんやりと考え事をしていた。お風呂で感じた安心感と、プールでの開放感の違いについて、心の中で言葉を探していた。


お風呂の中では、温かいお湯に包まれている感覚が、彼女に深い安心感を与えていた。「狭いからかな…」と、時佳は思った。周囲が閉じられた空間であることが、心を落ち着けてくれる。それに、温かいお湯が体を優しく包んでいるから、安心感が強く感じられるのだ。


しかし、安心感がある一方で、開放感はまったく別のものだと気づいた。「どうして、安心感には開放感が伴わないんだろう?」と疑問が浮かぶ。少しずつ年を重ねてきた自分が、そうした感情の違いを理解し始めているのかもしれない。


「もしかして、私が11歳になったからかな?」と、時佳は思った。年齢を重ねることで、世界が少しずつ広がり、自由を求める気持ちが強くなったのかもしれない。狭いお風呂の中では、心地よい安心感はあっても、自由に動き回れないことで開放感が感じられないのだ。


その思考はさらに続いたが、次第に心地よい疲れが彼女を包み込んでいく。思考がふわふわと漂う中、意識が次第に遠のいていった。どこか心地よい夢の中へと誘われながら、彼女はそのまま眠りに落ちていった。


静かな夜、布団の中での彼女の心は、さまざまな感情を抱えながらも、安心感に満ちていた。この夜の思索は自立の一歩でもあるのかもしれなかった。


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