俺が分裂(物理)する話。

みんQ

俺超分裂

「……は?」


「……えええ?!」


 朝起きたら、俺が二人になっていた。


「イヤイヤイヤ……! どどどどういうことだよ」


「そそそそんなの、おおおれ、イヤおま、お前、消え、消えろよ」


「消えろとか、ンなひでえ事いうなよ。仮にも俺なのに」


「ああああああイヤごめ、ごめん。混乱してりゅっ、してた」


「ああああああわかる、わかるよウン」


 キョドり癖のある俺は、2人になったらキョドパワーも二倍になった。


「んんんんで、どうするよ、一階で母ちゃんが飯作ってくれてんのに」


 なんだか少し落ち着いたらしい。俺は俺に、ほんのり余裕のある口調でたずねる。それを見て、俺もやっぱり落ち着く。


「仕方ねえだろ、よくわかんないんだ。こういう、わかんない事は何でも親に相談だろ。進路相談とおんなじようなもんだろコレ」


「おんなじか……? まあいいや、俺もアイデアなんてないし」


 俺たちは叱られるのを待つ子供のような気持ちで、一階の階段をギシリギシリと鳴らせながら、味噌汁を作ってる母ちゃんのいる台所へ向かった。


「…………!」


 母ちゃんは予想通り、アゴでもはずれたんじゃないかってくらい、口を縦に開いた。なんかモアイみたいな顔になってた。


「あんたら……なんで4人になってんの?」


「4人……? イヤ2人だよ、ナニおかしいこと言ってんだ」


 俺は母ちゃんの変なユーモアに当てられて、苦笑いしながらうしろを振り返ると……そこには、青ざめた顔の俺が、もう2人いた──

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俺が分裂(物理)する話。 みんQ @minQchan

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